大反響を呼んでいる川口春奈さん、目黒蓮さん(Snow Man)出演のドラマ『silent』(フジテレビ系/毎週木曜10時~)。“音のない世界”を描いた本作に幅広い年齢層の視聴者が夢中になり、動画配信サービス『TVer』上では再生数が歴代最高記録を塗り替えるという快挙を遂げています。「いま若者はドラマを観ない」という通説を覆した本作、そのヒットの理由はどこにあるのでしょうか?

『みんなの朝ドラ』などの著者で演劇・ドラマなどエンタメに詳しいライター木俣冬さんによる村瀬健さんのインタビューをお届けします(以下、木俣さんの寄稿)。

ドラマ『silent』第1話より
ドラマ『silent』第1話より
◆真正面から描く恋愛ドラマを多くの人が求めていた

 話題のドラマ『silent』もいよいよ後半戦。ラブストーリーが減ってきたテレビドラマのなかで、きらりと光るラブストーリーとして若い世代にも大人世代にも注目を集めている。

 20代の新人脚本家・生方美久さんによる何気ない日常会話にリアリティーがあって共感ポイントが高いが、短い相づちの多い、ゆっくりした日常会話の場面につい見入ってしまうのは画面づくりも重要な要素だろう。ブルーを基調にした映像や俳優の表情、やわらかい光、それが見ていて心地よい。それと、そこに流れる音や音楽も心をなでていく。

 この世界観をどうやって作り出したのか、村瀬健プロデューサーに聞いた。

――話題になっていますね。

「この取材場所に向かう途中、街中で『silent』のことを話している人達がいたんです。カフェとかでも話題にしてくれているのを耳にすることが多くて。街中や電車の中など、自分の意図してないところで作品の話を耳にすることが人気のバロメーターのひとつですが、僕がテレビドラマに関わった長い歴史のなかでもそういうことは数えるほどしかないから、ほんとうに驚くし、嬉しく感じています」(プロデューサー・村瀬健さん/以下同)

ドラマ『silent』第4話より
ドラマ『silent』第4話より
――何が受けたのでしょうか。

「ひとつは、人の心を丁寧に描いていることでしょうか。紬(川口春奈)、想(目黒蓮)、湊斗(鈴鹿央士)、奈々(夏帆)……まだまだもっといろいろな登場人物を描いていきますが、それぞれのシンプルな恋愛感情を真正面から描く――正確にいえば、それだけではないですが、それを多くの人が求めていたのかもしれないですよね」