◆キャラクターの気持ちで物語を動かしていく
「今回は、人の感情で物語をつくろうっていうのは最初から脚本の生方(美久)さんとすごく話していたんです。何か事件を起こして、その事件をきっかけに話が展開する、みたいな作り方ではなくて、それぞれのキャラクターの気持ちで物語を動かしていこうと。だから結末をどうするかっていうのも最初から決まっていたわけではないんですよ」(村瀬プロデューサー)
『silent』というタイトルは、「音のない世界で生きている人物が聖なる静寂の夜に向かう物語」をイメージしてつけられたそうですが、このドラマに漂っているのは物理的な静けさだけではありません。わざわざ誰かが物語を展開させるための事件を起こすようなことはなく、そういう意味での「静かさ」もあるドラマなのです。
◆物語が動く中で、最終回が固まっていった
今作が連ドラデビュー作となった脚本家の生方美久さんも、プロットは書かず、あくまでも「人の感情で物語をつくる」ことに徹したそうですが、「感情で物語をつくる」というのは具体的にはどういうことなのでしょうか。
「簡単に言うと、こういう時、紬はきっとこんな気持ちだろうな、だったらこう言うだろうなとか、そう言われたら想だったらこう返すだろうなっていうのをどんどんつなげていく、みたいなやり方です。キャラクターたちが頭の中で勝手にしゃべってくれるような感覚で、だから私自身も彼らが口にするセリフを涙しながら書く、ということが毎回どこかしらありました。
ドラマの結末に関しても、1話を書いた時点ではまっさらでしたが、物語が動き始めるなかでちょっとずつちょっとずつ最終回のイメージが固まっていった感じです」(生方さん)