◆山﨑賢人の熱い眼力とキラキラした表情で、共感できる主人公に

実際、山﨑賢人はまだ20代で日曜劇場の主演としては比較的若めです。しかし、俳優としてのキャリアはいわずもがな。漫画原作ものへの出演が多い印象の山﨑ですが、着実に実力をつけており、近年のドラマ『グッド・ドクター』や映画『キングダム』での名演には筆者も魅せられました。日曜劇場は5年前に放送された、池井戸潤原作・役所広司主演の日曜劇場『陸王』以来。

日曜劇場の主演らしい熱い眼力と顔圧はもちろん、夢と友情を失った序盤の喪失感から一転、ゲーム制作に挑むキラキラした表情まで細やかに演じています。長髪でいかにも天才クリエーターという風貌ながら、背負っている過去の苦悩と、「とにかくゲームと『アトム玩具』が好き」という気持ちが山﨑の表情からよく伝わるのです。かっこいいだけではない、共感できる主人公を作り上げています。

個人的には、伸びっぱなしの髪を結ぶ仕草に萌えます(笑)。

◆新たなラスボス像で魅せるオダギリジョー

那由他らの宿敵を演じるオダギリジョーにも目新しさを感じます。もともと、独特の存在感がある役どころの多いオダギリ。直近ではNHKの朝ドラ『カムカムエヴリバディ』でヒロインたちを支える役どころに癒やされました。一方、本作で演じている分かりやすい悪役も鳥肌モノです。

前述した第5話のラストで見せた“吠え”をはじめ、IT社長らしい不敵感、顔は笑っているのに冷徹さを感じさせる眼差し……敵としての憎たらしさ満載の演技を繰り広げています。しかし不快感は全くなく、むしろ1秒たりとも目を離せません。

日曜劇場の定番であるドアップ演技でも、意味ありげに指を舐めたり、まゆげを少し動かすだけで人を圧倒したり……そんなオダギリに大人の色気を感じてしまうのは筆者だけではないはず。急に放り込まれる流暢な英語もたまりませんでした。今後ますます凄みを増すであろうオダギリの大ボスは、目新しくも実にハマっています。