うつ病は「心の風邪」とたとえられるように、誰でもかかりうる身近な病気と言われています。もし、うつ病になったら仕事などはどうしたらいいのでしょうか。この記事では、うつ病の主な症状や発症した際の対処法、さらには若年層に多いと言われる「非定型うつ病」についてまとめました。「うつ病かもしれない」と気になる人がいたら、医療機関の受診を検討してみてくださいね。

うつ病とは?その一般的な症状

「なんだか憂うつ」「気分が落ち込んでいる」など、心が晴れない状態は「抑うつ状態」と言われます。この抑うつ状態が一時的ではなく長く続く場合や、ある程度重症になったケースが「うつ病」と呼ばれます。

うつ病は、その原因から心因性、内因性など、いくつかに分類されますが、精神的なストレスを原因とする心因性のうつ病がよく話題になります。

いずれも軽症の場合は時間とともに症状が軽くなりますが、自殺願望や自傷行為があるなど重症化している場合には、医師の診療を経て治療が必要な状態と言えます。

うつ病の一般的な症状は以下の通りです。これらの症状が継続的に見られたり、一定期間に何度も起きたりする場合には医療機関を受診しましょう。

1.自分で感じる症状

憂うつ、気分が重い、気分が沈む、悲しい、不安、イライラする、元気がない、集中力がない、好きなこともやりたくない、細かいことが気になる、物事を悪いほうへ考える、眠れない、など

2.周囲から見て分かる症状

表情が暗い、涙もろい、反応が遅い、落ち着かない、飲酒量が増える、など

3.体に出る症状

食欲がない、体がだるい、疲れやすい、性欲がない、頭痛、肩こり、動悸、胃の不快感、便秘がち、めまい、口が渇く、など

参考:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス総合サイト」

20代に多いとされる「非定型うつ病」の特徴

うつ病の中でも最近、20~30代の若者を中心に増えていると言われているのが「非定型うつ病」です。マスコミ報道などでは「新型うつ病」と呼ばれ、上で述べたような抑うつ状態などの典型的なうつ病とは“異なる症状”があらわれるのが特徴です。

抑うつ状態だけではなく、その後に多少気分が高揚する程度の軽い躁(そう)状態があり、再び抑うつ状態が来るなど非定型的な症状のため、診断と治療が難しい疾患と言われています。

また、発汗、動悸、息苦しさ、パニック発作といった身体的な不安症状をともなううつ病もあります。内科を受診しても異常がなく、しばらくしてから抑うつ症状が出てきて、はじめて非定型うつ病と分かるケースです。

非定型うつ病は、病気としては重くないことも多いのですが、職場でのトラブルを招くこともあります。早め受診と治療が大切なことは言うまでもありません。

参考:一般社団法人日本産業カウンセラー協会「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』」

社会人の半数が仕事でストレスを感じている

心因性のうつ病の場合、生活環境の中で直面するストレスとの関わりが大きいとされています。ビジネスパーソンの場合、やはり仕事についてのストレスは無視できないでしょう。

厚生労働省が2018年に実施した「労働安全衛生調査(実態調査)」によれば、仕事や職業生活に関して「強いストレスとなっていると感じる事柄がある」と回答した人が58%にのぼります。また、「強いストレスの内容」では「仕事の質・量」「仕事の失敗、責任の発生等」「対人関係(セクハラ・パワハラを含
む)」が多くなっています。

こうした職場のストレスが、うつ病などメンタルの不調に結びつかないように、働く人のセルフチェックの仕組みとして2015年に導入されたのが「ストレスチェック」の制度です。ストレスチェックの結果、メンタルの状態に気づきのあった人は、必要に応じて医師や勤務先の担当窓口に相談するとよいでしょう。