国民年金保険料の納付期間を、「5年延長して、65歳未満までにする」という案が検討されています。もしそうなった場合、国民は64歳まで保険料を納付し続けなければなりません。
では、5年の延長によって、いくら納付額は増え、いくら受給額に変化があるのでしょうか。具体的に試算してみます。
納付期間「64歳まで」延長検討
国民年金保険料の現行の納付期間は、「20歳以上60歳未満の40年間」です。しかし、国はこの納付期間を「65歳未満までの45年間」に延長することを検討しています。この検討は2022年10月から本格化し、2025年に改正法案を提出することを目指して進められています。
納付期間を延長するのは、年金財源を確保するためです。超少子高齢化の日本では、年金を受給する高齢者は増える一方で、社会保障を支える現役世代が減っており、現行のシステムでは年金の財源を確保することが難しいと言われています。
そのため、国は納付期間の延長によって、現行の受給水準を将来も維持したいと考えています。
5年延長で支払額は100万円増⁉
納付期間が5年延長された場合、私たちの納付額や受給額にどのくらい変化があるのでしょうか?
現在の国民年金の保険料は月1万6,590円、年間の納付額は約20万円です。したがって、納付期間が5年間延長されれば、総額約100万円の負担増となります。
少子高齢化の日本において、財源を確保するためには仕方がない……と思う人もいるかもしれませんが、そう簡単には許容できない金額です。
定年退職後のセカンドライフは崩壊
60歳といえば、定年退職を迎える人も少なくありません。希望すれば65歳まで再雇用で働き続けられる法律もありますが、還暦を節目にセカンドライフを楽しみたいと考える人も多いでしょう。
もしくは、家族の介護や、本人の病気などの事情で、働けない状況になっていることも十分に考えられる年齢です。
そんな年齢で、年間20万円の支払いを強いられるとなると、悠々自適のセカンドライフはもはや絵空事でしょう。