新型コロナウイルスの感染拡大がやや落ち着きつつあります。油断のならない状況ではありますが、経済や市場も回復傾向です。

株式市場では、コロナ禍の落ち込みから大きく上昇に転じた銘柄もあります。それはどんな銘柄なのでしょうか。「アフターコロナ」の時代に注目が集まる銘柄を紹介しましょう。

コロナ禍の落ち込みから経済回復へ

世界的なコロナの感染拡大は、国内経済に大きな打撃を与えました。2020年度の国内総生産(GDP)は実質伸び率がマイナス4.6%となり、リーマンショックの影響を受けた2008年度のマイナス3.6%を超える下落率でした。

その後2022年11月現在、感染者数は上下しているものの、ワクチンの普及などを受けて社会や経済は回復傾向にあると言えます。4〜6月期の実質GDPは前期比年率3.5%増となりました。物価上昇の影響はあるものの、個人消費の回復や訪日外国人受け入れによるインバウンド消費への期待などが背景にあります。

株価が「爆上がり」している銘柄とは?

アフターコロナの市場では、経済再生によってコロナ禍の落ち込みから回復する「リオープン銘柄」が注目されています。中でも2020年ごろと比較して大きく躍進している銘柄3種について、株価の推移をもとに分析しました。

エアトリ<6191>:全国旅行支援など観光産業回復へ

コロナ禍において落ち込みが大きかった旅行・観光産業ですが、2022年10月には政府による観光促進政策「全国旅行支援」の開始も影響し、業績回復への期待が寄せられています。

オンライン旅行事業を主力とするエアトリは、2020年の終値が1,248円だったのに対し、2022年9月26日には3,100円の高値をマークしています。

2021年10月の政府のまん延防止等重点措置解除後には4,595円の高値となりました。その後は感染再拡大の懸念もあり一時期下落するものの、2022年に入ってからは底堅い展開となっています。

コメ兵ホールディングス<2780>:水際対策緩和でインバウンド消費拡大へ

政府による水際対策の緩和で、今後のインバウンド需要にも注目が集まっています。コメ兵ホールディングスはブランド品や時計、貴金属類の中古品買い取り・販売を手掛け、リサイクル店の経営などを主力とする企業です。

中国からの観光客など訪日外国人客の増加による業績拡大が期待され、株価の急上昇につながりました。深刻な円安によって、輸入ブランド品が高騰していることも追い風となっているようです。

2020年の終値は705円でしたが、2022年10月19日には3,660円の高値となり、5倍以上の価格となりました。

塩野義製薬<4507>:コロナ飲み薬開発、承認に期待

今後の「ウィズコロナ」時代に備えて医療や製薬分野も引き続き需要が高まると考えられます。医薬品メーカーの塩野義製薬は、コロナ治療の飲み薬「ゾコーバ」を開発し話題となりました。実用化に向けた治験が進められ、2022年7月には厚生労働省が承認を見送ったものの、11月下旬に再審議する方針だと報道されています。

2020年の終値は5,635円でしたが、2021年後半からは上昇傾向に転じています。2022年2月8日には8,350円の高値でピークをつけました。