2022年10月、消費者庁は健康食品や化粧品などの販売を行う「日本アムウェイ」に対して6ヵ月間の取引等停止命令を出しました。いわゆる「マルチ商法」の違法勧誘を行っていたことが理由です。

マルチ商法に騙されないためには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。今回は、マルチ商法の仕組みや騙されてしまう人の共通点を5つ紹介します。

マルチ商法とは?

マルチ商法とは、特定商品取引法に規定されている「連鎖販売取引」のことです。ある個人を販売員として勧誘して、次の販売員をその個人に勧誘させることによって、販売組織を連鎖的に拡大していきます。

たとえば、「他人を勧誘して入会させると、1万円の紹介料がもらえる」「入会すると売値の3割引で商品を買えるため、勧誘して他人に販売すると儲かる」といったケースが該当します。つまり多くの人を紹介するほど、自身の利益が増える仕組みになっています。

しばらくやり取りがなかった友人から「久しぶりに会わないか」と誘われ、会いに行ってみたらマルチ商法の勧誘だったというのはよくあるパターンです。最近では、SNSやマッチングアプリなどを通じたマルチ商法への勧誘も増えています。

違法と合法の境界線について

マルチ商法は合法なビジネスであり、特定商品取引法では「連鎖販売業」を次のように規定しています。

  1. 物品(施設を利用し又は役務の提供を受ける権利を含む。)の販売(又は役務の提供)の事業であって
  2. 再販売、受託販売若しくは販売のあっせん(又は同種役務の提供若しくは役務提供のあっせん)をする者を
  3. 特定利益が得られると誘引し
  4. 特定負担を伴う取引(取引条件の変更を含む。)をするもの

引用:連鎖販売取引|特定商取引法ガイド

特定利益は勧誘によって得られる利益(紹介料など)、特定負担は取引条件として相手に1円以上の負担をさせることです。上記4つに該当する場合、その取引は「連鎖販売取引」に該当します。

ただし、マルチ商法を行う事業者や勧誘者は、消費者に対して事前に自身の氏名や勧誘目的、勧誘を行う商品・サービスの種類を告げなくてはなりません。目的を告げずに消費者を誘い出し、事務所や住居などの密室で無理やり契約させようとする行為は違法です。もちろん、嘘や威迫などで消費者を困惑させるといった不当行為も禁止されています。