高級フレンチを頂くときに、知らないと恥ずかしいテーブルマナーはいろいろとあります。その中の一つであり、一番多くの人が使う際に戸惑うものにフィンガーボールがあります。フィンガーボールの美しい使い方を覚えて仕事に、プライベートにいかしましょう。

フィンガーボールの美しい使い方

社会人になると仕事のお付き合いやプライベートでも素敵なレストランを利用する機会が増えていきます。 その際に重要になってくるのが「テーブルマナー」

テーブルマナーをきちんと理解しておくことは大人のマナーです。 箸の上げ下げ、カトラリーの使い方、ナプキンの置き方など知っておきたいエチケットはたくさんあります。

テーブルマナーを知らなければ、食事の場で恥をかくこともありますし、それが仕事の商談の席なら 「あぁ、常識のない人だな」 と受け取られかねません。 仕事にも影響してきますから、美しいテーブルマナーはきちんと身に着けておきましょう。

さて今回はテーブルマナーの中でも一番多くの人が戸惑いやすい「フィンガーボール」の使い方について説明していきます。 フィンガーボールを目にする機会自体が少ないのですが、美しくフィンガーボールを使うことができるとあなたの印象は確実にアップするはずです。

フィンガーボールはどんな食器?

フィンガーボールの使い方を説明する前に、フィンガーボールが一体どのようなものなのか、知らなければ話は進みませんね。

フィンガーボールは食事の際に汚れてしまった指を洗うものですから、大きさが片手の指が浸せるくらいのおわん型の食器です。 サイズにして直径11cmで深さが5~7cmほどでしょうか。

食事の際に、少し大きめで水の入ったお椀の様な食器が目の前に運ばれてくれば、それがフィンガーボールです。 フィンガーボールは形も素材も様々で、形はおわん型や円柱型、素材は陶器、ガラス、ステンレスまで各種あります。

飲むためのお水でしたらグラスに注がれ、横に置かれますから、グラスではない食器に水が入れられ、目の前に置かれれば、それは「フィンガーボール」だと思って間違いないでしょう。

フィンガーボールの起源

フィンガーボールは昔からとても大切な食事の道具として用いられてきました。 歴史をたどっていけば、古代エジプト時代にはもうすでにフィンガーボールは使われていたようです。

おそらく皆さんが想像しているよりも手づかみで食事をする時代は長く、16世紀ごろまではヨーロッパの王侯貴族といえども手づかみで食事をとることが当たり前でした。 庶民は5本の指で、貴族階級はマナーとして親指・人差し指・中指の3本の指で食事をとっていたのです。

そのため、食事の際にソースや肉の油で汚れてしまう指を、デザートの前にきれいに洗う習慣を支えてくれたのがフィンガーボールです。

17世紀になってようやくフォークが市民権を得ると(それでもカトラリーは高価な物でしたから貴族の間で定着したにすぎません)フィンガーボールの大きな役割はなくなるのですが、名残りとして指が汚れない食事の際にも出されることがあります。

フィンガーボールに浮かべるもの

フィンガーボールには飲むためではなく、指を洗うための水が入れてありますが、水だけではなく花やレモン、コリアンダーなどを浮かべることがあります。

水にいい香りをつけるためでよりリフレッシュ感を味わうためですが、それよりも装飾の意味の方が強いでしょう。

フィンガーボールで指を洗う際に、水に浮かんでいるものは取り出してお皿によけてはいけません。 中に入れたまま指を洗うことが基本です。

また、フィンガーボールを使用するのはフレンチなど、洋食の高級レストランをイメージしますが、中華料理でも稀に使用します。 中華料理では水の代わりにウーロン茶を入れる場合もありますから、飲むものかしら?と戸惑わないようにしましょう。

フィンガーボールを使う食事

高級フレンチに食事に行ったからといって、フィンガーボウルを目にしたことがないという方もいらっしゃいます。 フィンガーボウルの使い方を知っていても、そもそもフィンガーボウルを目にしたことがない人が多い事も事実です。

カトラリーを使って食事をすることが一般的になった今、実際にフィンガーボウルを使わなければいけないような指が汚れる食事をする機会はそもそも少なくなっています。

それでもオマールエビや蟹、牡蠣など、甲殻類や貝類、さらには手を使って食べても良いフルーツ類が出たときには必ずフィンガーボウルが登場します。 基本的にフィンガーボウルは

「手で召し上がっても大丈夫ですよ」

というホスト側の気遣いですから、フィンガーボウルが出てきたら手で食べてもよい食事だと理解しましょう。 もちろんナイフとフォークで頂いても問題はありません。