産後の腹痛の原因 (3) 悪露の影響
子宮収縮により、悪露という産後の子宮内に溜まっている 「血液や卵膜・子宮内膜などの不要になったもの」を体外に排出しています。
この悪露は、赤から茶色へ、その後黄色になり、徐々に量が減っていきます。 いつまで続くかは大体、4~6週間(1ヶ月~1ヶ月半)くらいだといわれています。
子宮収縮がうまくいかず、栄養豊富な遺留物が子宮内に残ってしまうと、 子宮内で細菌が繁殖してしまいます。 それが原因で、激しい下腹部痛を発症することがあります。
また、人によっては、出産してから3ヶ月や4ヶ月経った後にも関わらず、 下腹部痛を発症して病院で検査をしたら、原因は残っていた悪露だった…というケースもあります。
産後の腹痛の原因 (4) 便秘
これは、出産した場合だけではないケースもあるのですが、 「傷が痛みそう・開きそう」などといった理由で、排便をためらってしまうことがあります。
それが常習化すると、便秘になってしまいます。 また、出産後に授乳をすることによって、体内の水分が減ってしまい、脱水状態になります。
便秘の予防として一般的なのは水分をとること。 普段の状態でも1日に2リットルくらいはとる必要がありますが、 授乳時は、それ以上の水分をとることが必要です。 (下痢にならない程度に)
便秘が続くようであれば、病院で便を柔らかくするタイプもしくは 腸の蠕動を促すタイプの便秘薬を処方してもらうとよいでしょう。
産後の腹痛の原因 (5) 子宮脱
子宮脱は、子宮が膣内や膣外に下がってしまう病気です。 大きな赤ちゃんを出産した(3500g以上といわれています)、もともと肥満傾向だったなどの人が 産後に子宮脱になりやすいです。 いつまでに起こりやすいかというのは、 実は高齢になればなるほど可能性は上がるので、いつまでという言葉は当てはまりません。
症状は、脱出した子宮が外陰部やその他を圧迫することで起きる下腹部の違和感や薄い下腹部痛が多いです。
原因としては、骨盤の筋肉が低下することが主な原因です。 大きな赤ちゃんを産んだ人やもともと肥満傾向だった人は、骨盤の筋肉が傷ついている場合が多いといいます。 また、高齢になると、筋力が衰えるので子宮脱を起こしやすいです。
出産後、痛みが落ち着いたら、産褥体操を行うことで、ある程度の予防はできるようです。 産褥体操を行っていると、産後3ヶ月から4ヶ月くらい後には、骨盤の筋肉も復活してくるそうです。
産後の腹痛の原因 (6) その他の原因
出産後、人によっては3ヶ月から4ヶ月で生理が再開するケースがあります。 母乳育児を行っていない場合、比較的早く生理が再開するケースもあります。
その際の生理痛や、その前症状などの可能性もあります。
意外と早く生理が再開するケースも
また、出産前後に、「リラキシン」というホルモンが分泌されます。 このホルモンは、出産に対応するために骨盤を広げる作用を持つのですが、 同時に、骨盤周辺を歪める可能性もあります。 この骨盤の歪みが下腹部痛を引き起こすこともあります。 また、骨盤の歪みが原因で便秘や下痢を引き起こすというケースもあります。
この場合は、骨盤のゆがみを直すと痛みも治ります。 方法としては、市販もしくは産院で販売されている骨盤ベルトを使うのが一般的です。 正しい方法で固定をしないと効果は薄いので、助産師さんに指導をしてもらうとよいでしょう。 また、産褥体操や骨盤ストレッチなども有効です。 体操やストレッチの効果は、3ヶ月から4ヶ月後には出ているでしょう。