コロナウイルスの影響で日本経済はどんどん下り坂に…。そこで気になるのが、企業はどこまで人件費を維持できるか? ということ。今は国からの補償もありますが、今後会社からどう言われるかわかりません。そこで今回は「解雇」と「退職勧奨」の違いについてご紹介。意図せず、会社を辞めることになった時には、ぜひチェックしてみてくださいね

Cinq読者の皆さま、おはようございます。キャリアアドバイザーAです。

だんだん陽射しが強くなってきました。今年の夏は「マスク」とともに過ごす夏になりそうですね!今の段階でも口元が蒸れて暑いのに、真夏にマスクなんて考えただけでも暑そう…メイク崩れも気になります。どんなに暑くても通勤時の電車内では外すわけにもいかないし、何とも悩ましい夏になりそうだなと思っています。つけた瞬間ひんやりするマスクや、マスクに吹きつけるスプレー等も売れているそうですが、今から対策を考えていきたいですね。

「解雇」と「退職勧奨」の違いについて

今日Cinq読者の皆さまにお届けしたいのは、「解雇と退職勧奨の違い」についてです。

新型コロナウィルス禍で影響の出ない業界はほとんどないように思います。企業の倒産件数も1万件を超える予想がでています。読者の皆さまのお勤めの業界も、影響が出始めているのではないでしょうか。

業績が急激に悪化してきた企業の中には、従業員の雇用を守れなくなるところも出てくると思われます。不幸にも「当事者」になってしまう方も出てくるのではないかと思います。今日はそんなあなたに、ぜひ知っておいていただきたいことです。

「解雇」には3種類ある

一度はお聞きになったことがある、「解雇」と「退職勧奨」の違いについて、あなたはちゃんと理解していますか?まずは「解雇」についてみていきましょう。解雇には3種類あります。

普通解雇

労働基準法と労働契約法に基づいて解雇をする方法です。解雇理由には客観的合理性と社会通念上の相当性が必要になります。解雇理由に客観的合理性・社会的相当性が無いものは、労働契約法第16条により「解雇権濫用」とされ、その解雇は無効になります。

客観的合理性と社会通念上の相当性……なんだか難しい言い回しですけれど、ようは「誰が聞いても【会社を辞めさせられても仕方ない】と判断されるような事由である」ということ。

ですから、たとえば『社長が従業員Aのことが気に入らないので解雇した』『役員に意見を言ったので解雇した』『妊娠したから解雇した』『自分は解雇されたのに相変わらず求人が出ている』という場合は、第三者から見てみれば、理にかなっていないと言えるでしょう。

懲戒解雇

社内の秩序を著しく乱した労働者に対し、ペナルティとして行われる解雇のことです。
普通解雇と同様で、客観的合理性と社会的相当性が必要となります。

また、懲戒解雇を行うにためには、あらかじめ懲戒解雇の対象となる事由を就業規則に明記しておかなくてはなりません。今すぐ、ご自身のお勤めの会社の就業規則を確認しておいてください。
たとえばこんな感じです。

<懲戒解雇の例>

  • 業務上地位を利用した犯罪行為や、会社の名誉を著しく害する重大な犯罪行為
  • 重大な経歴詐称(大卒なのに高卒だと偽ったり、中退なのに卒業していると偽った等)
  • 長期間の無断欠勤(2週間等、期限を記載しているものがほとんどです)
  • 重大なセクシャルハラスメント、パワーハラスメントがあった
  • 減給などの懲戒処分を受けても同様の行為を繰り返す
  • 副業を認めていないのに副業していた
  • 同業他社に自社の重大機密(顧客情報等)を流していた 等

整理解雇

会社の事業継続を図るために従業員を解雇する方法。いわゆるリストラのことです。
整理解雇を行うためには、以下4つの要件を満たす必要があります。(整理解雇の4要件と言います)

<整理解雇の要件>

  • 人員整理の必要性
  • 解雇回避努力義務の履行
  • 解雇する従業員選定の合理性
  • 手続の相当性 つまり、整理解雇はリストラの「最終手段」であって、それまでに解雇以外の方法をとったり、整理解雇に至るまでにそれを回避する努力を行ったか、ということです。

    整理解雇で一部の従業員が解雇されたのにも関わらず、役員報酬は以前と変わっていなかったり、お金のかかる新規事業を立ち上げようとしたり、新しい従業員の採用活動が行われたりしていたら、「整理解雇」とは言えない、不当解雇に当たる可能性があります。

    「解雇」には制限があるため「退職勧奨」をする会社が多い

    このように、「解雇」はかなり制限があります。従業員は法律上守られているということです。
    さらに「解雇予告」と言って、会社は30日以上前に解雇する旨を解雇する従業員に伝えなくてはなりません。

(解雇の予告)
第二十条  使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
―引用:労働基準法第20条

「解雇」を言い渡されたら、必ず「解雇予告通知書」を発行してもらうようにしましょう。
「この社員は労働法知識がないから解雇は簡単だ」等と思わせないためにも、その後専門家に相談することになった場合のためにも、正式な書類を要求するステップは大切です。

このように、従業員を「解雇」するのは、会社側からみるととっても面倒な手続きなのです。
ですから、会社側は「退職勧奨」という手段で、従業員自ら退職するように仕向け、従業員の人員調整やコスト削減を行ったりしがちです。