住宅ローンを借りることは大きな決断ですので、「自分の年収でこれだけのローンを借りて大丈夫なのだろうか」と不安を感じる人もいるでしょう。今回は住宅ローンとして3,000万円を借りたいと思っている人向けに、年収の目安、返済と借入で注意しておきたいポイントなどについて解説します。

住宅ローンを3,000万円借りる年収の目安

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住宅ローンは「借りられる金額=返せる金額」とは限らないので要注意です。多くの場合、数十年間にわたって返済が続くので、途中で無理が生じて生活が圧迫されて困ってしまうことがないよう、計画的に借りる必要があります。

住宅ローンの返済月額は手取り月収の25%以内が目安

負担が重くなり過ぎない住宅ローンの返済額は、手取り月収の25%までと言われています。たとえば、手取りの世帯月収が30万円の人なら毎月の返済額は「7万5,000円」、40万円の人なら「10万円」以下が目安です。できれば20%までに抑えておくと家計のやりくりが楽になるでしょう。

住宅ローン3,000万円の返済額は?金利と返済期間別の目安

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それでは住宅ローンで3,000万円借りた場合、毎月いくらずつ返していくことになるのか、返済総額はいくらになるのか試算してみましょう。

住宅ローン3,000万円の返済シミュレーション

返済期間 金利 年0.5% 金利 年1% 金利 年1.5%
20年 毎月の返済:約13.1万円
総返済額:約3,240万円
毎月の返済:約13.8万円
総返済額:約3,400万円
毎月の返済:約14.5万円
総返済額:約3,560万円
30年 毎月の返済:約9.0万円
総返済額:約3,320万円
毎月の返済:約9.6万円
総返済額:約3,560万円
毎月の返済:約10.4万円
総返済額:約3,820万円
35年 毎月の返済:約7.8万円
総返済額:約3,360万円
毎月の返済:約8.5万円
総返済額:約3,640万円
毎月の返済:約9.2万円
総返済額:約3,950万円

※計算条件:元利均等返済。ボーナス払いなし。金利は借入期間中に変動がなかったものとする。総返済額には諸費用88万円を含む。

たとえば3,000万円借りるために年1%の金利で35年ローンを組む場合、毎月の返済額は8.5万円です。この金額を無理なく返済できる目安である「25%以下」に収めるには手取り月収が34万円、「20%以下」にするなら月収42.5万円あればよいということになります。

年収で言うと、月収34万円×12ヶ月=408万円(手取り)です。ボーナスは勤務先の経営状況等によっては大幅にカットされてしまうこともあるため、住宅ローンを借りる際はあてにしないほうが無難です。

借入額が同じ「3,000万円」でも借入の金利と返済期間によって返済額に大きな差が生じます。総返済額を減らしたいならできるだけ早く多く返す、毎月の負担を抑えたいなら総返済額は増えるけれど返済期間をなるべく長く設定する、といった方法が選択できます。

また、金利についてもどんなプランを選ぶかによって大きく違ってきます。住宅ローンはもとの金額が大きいため、たった年0.1%の差でも家計に与える影響が大きくなります。金利については次に詳しく見ていきます。

住宅ローンの返済プランはどうする?

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住宅ローンの金利には大きく分けて「固定金利」と「変動金利」があります。どちらを選ぶかで返済額も変わってきますので慎重に選びたいところです。

変動金利の特徴

変動金利は、定期的に金利が見直されるため、借入期間中に変動する可能性がある金利タイプです。もし経済状況の変化などがあり金利が上がることがあれば、それ以降、返済額が増え負担が重くなります。このリスクがある一方、固定金利より低い金利に設定されていることが多い点はメリットです。

固定金利の特徴

固定金利は、金利が変動しないタイプです。返済期間中まったく変動しない「全期間固定型」と借入開始から3年など、あらかじめ決められた期間だけ変動しないと約束されている「期間選択型」があります。変動金利より高めの金利が設定される傾向になっていますが、途中で変わらない安心感があります。

どちらを選べばいい?

2020年に国土交通省が発表した「令和元年度 住宅市場動向調査」によると、「民間金融機関借入金の金利タイプ」を調査した結果、「変動金利」を選ぶ人が多く、2011年以降6割を超えています。変動金利は、共働きや高収入など金銭的に余裕があって、途中で毎月の返済額が増えても家計へのダメージが少ない人や、借入額が少ない人、返済期間が短い人などに向いています。

最近は、金融機関によっては固定金利と変動金利の両方の特徴を組み合わせた金利タイプなども登場しています。目先の返済額だけではなくそれぞれの特徴を見極めたうえで、自分に合ったプランを選ぶことが大切です。