社会人ともなると仕事のストレスなどでついつい食べ過ぎてしまい、身についてしまった脂肪がなかなか落ちず悩んでいる人もいるのではないでしょうか?そんな人に試して欲しいのが、週1回の「半日断食」です。毎日のカロリー制限よりも効果的で、太りにくい体質になるのだとか!ダイエット外来の医師、工藤孝文先生に詳しくお話をうかがってきました。
「断食メモリー」で太りにくい体質に
──断食と聞くと、修行のイメージが強いのですが、ダイエットにも効果的なのでしょうか?
工藤孝文先生(以下、工藤):そもそも、断食はダイエットのために行うものではありません。本当の目的は、体質改善です。断食でお腹の中を空っぽの状態にすることで、太りにくい体質になります。
──それは嬉しい効果ですね!でも、「食べない」という極端な行動に出ると、太りにくい体質になるというより、むしろリバウンドしそうな気がするのですが……。
工藤: 実は、断食による体質改善の効果には持続性があるのです。断食は、一時的に体内に取り入れるエネルギーを少なくして体に危機を知らせる、一種のショック療法みたいなもの。でもそのショックは、たとえ一時的に与えたものでも体に残りやすいと言われています。
だから断食後は、太りにくい体質がしばらく続くのです。その効果が体に記憶されることから「断食メモリー」と呼ばれています。
断食で脂肪がエネルギーに変わる
──断食をすると、体の中でどんなことが起こるのでしょうか?
工藤: 断食は体にとって、エネルギー源がなくなる生命の危機です。通常、食べたものはブドウ糖となって全身に運ばれますが、ブドウ糖は約8時間で全てなくなります。すると、中性脂肪が肝臓に集まってきて分解され、「ケトン体」が生み出されます。それが体の新たなエネルギー源となるのです。
──体が危機を察知すると、脂肪がエネルギーに変わるということですか?
工藤: そうです。体のあちこちでエネルギー源として脂肪がどんどん使われるので、結果的に太りにくい体になります。しかも「断食メモリー」の効果により、断食を終えてケトン体の数値が元に戻った後も、太りにくい体質が維持されます。
取り入れやすいのは夕飯抜きの半日断食
──断食の良さは分かってきましたが、やはりいきなり本格的な断食に挑戦するにはハードルが高いと感じてしまいます。初心者にも手軽に実践できる方法はありませんか?
工藤: 初めての方は、週1回の半日断食がいいでしょう。この断食では、1週間のうち1回だけ、12時間以上は食事をとらない時間帯をつくります。食事を抜くのは朝昼晩のいつでもOKですが、一番効率的なのは夕飯抜きの半日断食。
昼間の活動でエネルギー不足になることもありませんし、寝ている間に胃腸をよく休めることができます。
──それならできそうな気がします。ちなみに、通常の日は何を食べてもいいのですか?
工藤: 炭水化物やお肉も、いつも通り食べていいですよ。無理にカロリー制限をしたり、ご飯を減らしたりしなくても大丈夫です。