みなさん、「味覚修飾物質」を知っていますか?

例えば「ミラクリン」という味覚修飾物質を食べた後にレモンを食べると、なんとレモンが甘く感じるようになります!

また、「ギムネマ」を食べた後にチョコを食べると、チョコの甘さを感じなくなります!

今日は、このように味を変える不思議な物質「味覚修飾物質」について詳しくご説明します!

味覚修飾物質とは?

味覚修飾物質とは、日本味覚協会で働きたがっている物質のことではありません。それは味覚就職物質です(そんな物質はありませんが笑)。そして残念なことに、日本味覚協会に就職したがっている人もいないようです・・・。

味覚修飾物質とは、味覚の機能を一時的に変化させる物質のことです。
食べ物そのものには化学的な変化を与えないのですが、味覚器(主に舌に存在する味細胞)に働きかけて、本来の食べ物の味とは違う味のように感じさせます。

現在、味覚修飾物質は

1.甘味阻害物質
2.甘味誘導物質
3.苦味抑制物質

の三種類が知られています。

1.甘味阻害物質

甘味阻害物質は、「甘いものを食べても、甘く感じなくさせる物質」です。
代表的な甘味阻害物質は以下の4種です。

・ギムネマ酸
・ジジフィン(ギムネマ酸類の一つ)
・ホズルシン(ギムネマ酸類の一つ)
・ラクチゾール

味覚修飾物質とは?~ギムネマ、ミラクリン等の味覚修飾物質の例~
(画像=味覚ステーションより引用)

ギムネマ酸

ギムネマ酸は、最も有名な甘味阻害物質です。

ギムネマ酸は、インドや東南アジアに自生する植物(ガガイモ科のホウライアオカズラ属でギムネマ・シルベスタと言われる)の葉に含まれる物質です。

味覚修飾物質とは?~ギムネマ、ミラクリン等の味覚修飾物質の例~
(画像=味覚ステーションより引用)

ギムネマ酸の中にも様々な種類があります。
上図でいうとR1がチグロイル基、R2がアセチル基のものが「ギムネマ酸 I」と言われ、最も甘味抑制効果が高いと報告されています。(甘味抑制効果のあるギムネマ酸は、I~IVの4種類です)

ギムネマ酸を摂取すると、ほとんどの甘味料(砂糖など)の甘さが感じにくくなります。
とはいえ、永遠に甘さを感じなくなってしまう、というわけではないのでご安心ください。30分くらい経つと、再び甘さを感じるようになります。

なお、ギムネマ酸の効果については
・ドラえもんはなぜドラ焼きが好きなのか?~猫と甘味とギムネマの関係~
の記事に詳細が記載されております。ご参照ください。

ジジフィン

ジジフィンは、ナツメの葉に含まれる物質です。

味覚修飾物質とは?~ギムネマ、ミラクリン等の味覚修飾物質の例~
(画像=味覚ステーションより引用)

ジジフィンも、甘味抑制効果が高いですが、上述したギムネマ酸Iよりも弱いと言われています。

ジジフィンの甘味抑制効果も、30分程度です。ジジフィンを摂取したからと言って、永遠に甘味を感じなくなるわけではないのでご安心ください。

ホズルシン

ホズルシンは、ケンポナシの葉に含まれる物質です。
ホズルシンにも甘味抑制効果がありますが、上述したギムネマ酸Iよりも弱いと言われています。

ラクチゾール

ラクチゾールは甘味受容体(T1R3)に特異的に結合する物質です。
ラクチゾールは、マウス膵β細胞のT1R3の阻害剤として機能し、甘味物質やグルコース刺激によるインスリン分泌を抑制することが報告されています。

2.甘味誘導物質

甘味誘導物質は「すっぱいものを食べても、甘く感じさせる物質」です。
以下の3種がよく知られています。

・ミラクリン
・クルクリン(ネオクリン)
・ストロジン

味覚修飾物質とは?~ギムネマ、ミラクリン等の味覚修飾物質の例~
(画像=味覚ステーションより引用)