将来的に子どもがほしいと思っても、子どもの進路までイメージしている人は少ないかもしれません。最近では、一般的な家庭でも「小学校受験」が増加傾向にあるとされています。子どもの進路は、子ども自身の人生はもちろん、親のライフプランにも大きな影響があるでしょう。自分の子どもに小学校受験をさせることのメリットとデメリットを整理し、考えてみましょう。

小学校受験のメリット

質の高い教育環境

小学校受験を検討する際に、設備の充実や、英語やICTの教育に特化しているなど、それぞれの学校が公立にはない特色を持っていることをメリットとして考える親が多いでしょう。学習指導要領を1~2年も先取りする授業進度、専科教員が多いなど、専門性の高い教育が期待できます。

また、名門と呼ばれる付属小学校であれば、中学、高校などへの内部進学を経て、レベルの高い大学に進学できる確率が高まります。

近年不安視されるセキュリティ対策では、ICカードで部外者は入れない仕組みを導入して万全を期したり、ランドセルに付いている電子パスによって子どもが校門を通過すると保護者にメールが届く仕組みを導入したり、さまざまな工夫が見られます。

恵まれた人間関係

小学校受験で入学する学校では、本人の学習能力に加え、親の生活水準や教育方針の影響を受けるため、比較的同質な子どもが集まる傾向があります。そのため、子ども同士がなじみやすく、安心感のある人間関係を育めます。小学校から長い年月を同じ学び舎で一貫して過ごすことで、結びつきの強い生涯の友人を見つけられるようです。

また、連携の強さは子ども同士だけではありません。教員の異動が少ないため、卒業後も生徒と先生の関係が続きやすい傾向があります。

子どもの才能を伸ばせる

公立の小中学校では中高の進学受験のために、それまで続けてきた英語の勉強やサッカーの活動などをあきらめなくてはならないことがあります。

小学校受験をすることで、中学・高校・大学と内部進学できることが多いため、受験勉強に追われることがなくなります。心身の成長に大事な時期に、個性に沿った取り組みに打ち込めるメリットは大きいと言えるでしょう。

小学校受験のデメリット

幼児教室、受験料などにお金がかかる

小学校受験の試験内容は特別であるため、多くの家庭は専門の幼児教室に子どもを通わせて対策します。試験内容に応じて、複数の教室を掛け持ちすることもあるようです。

受験料は国立では2,000円~3,000円ですが、私立の場合は1校につき2万円から3万円かかります。複数受験するとなると、受験料だけでも10万円近くかかることになります。親子面接に備えて服や鞄をそろえるといった費用も見込んでおく必要があります。

学費も高額

私立の小学校に入った場合は、学費の負担も大きくなります。入学金を含め、入学初年度は特に高額になります。6年間でかかる費用は、公立小学校なら64万円ほどですが、私立の場合は571万円ほど(平成30年度子供の学習費調査/文部科学省より算出)と大きな差が生じます。

これらの高額の負担に家計が耐えられるのかを、あらかじめ試算しておく必要があるでしょう。

課外活動も高額になる傾向

経済的に恵まれた家庭が多いため、放課後の習い事なども高額になる傾向があります。早い授業進度に合わせて、また内部進学対策として塾に通わせることになれば、それだけ追加費用がかかってきます。

小学校受験、いつから準備するべきか

早ければ3歳ころから幼児教室に通い始める家庭もあるようですが、一般的には幼稚園年少時の11月から開始し、2年かけて準備するようです。

行事見学会などに参加し、子どもに合った学校を選び、年中の11月ころにはおおよその志望校を決めます。年長の5月ころから願書の配布が始まり、9月に説明会、10月に出願が締め切られ、11月から12月初めに入学試験を実施し、合否発表というのが、東京の私立小学校受験の一般的な流れです。関西はさらに早く、8月に選考、9月には合格発表という学校も少なくありません。

ペーパーテスト形式の試験だけで合否を判断しないのが小学校受験の特徴です。

その1つが行動観察と呼ばれる試験で、子ども同士をグループ分けし、集団の中でゲームや創作をさせてコミュニケーション能力を観察するのです。絵画やリズム運動が受験科目に課される学校もあります。これを通過すると、2次試験としての面接に進みます。いずれも志望校に合わせた受験対策が必要です。