新生・岩田剛典の表情
第1話で、春斗(岩田剛典)が営む金魚屋の水槽を両サイドから見つめ、水槽越しにさくらと見つめ合う場面に始まり、何気ない瞬間に新生・岩田剛典の鮮やかな表情が刻まれる。
夫のことを気にして金魚屋から逃げるように出て行ったさくらとその後すぐに再会する場面では、初主演映画『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(2016)で印象付けられた「岩ちゃんスマイル」がバージョンアップされている。30代になったことも要因のひとつだが、瞳の奥にはどこかドスが利いていて、様々な感情を読み取ることが出来る。複雑な感情をコントロール出来る演技者となった証だろう。
しかしそれでいて、遊覧船での他愛のない会話や第2話冒頭で外泊させたさくらとインスタントラーメンを食べる朝の場面などには、岩田の素の部分を覗かせるような爽やかな笑い声がナチュラルにこぼれてくる。素の状態ですら自分の演技プランに取り込んで、それをいかにも自然体で見せていこうする岩田は、ソロ・アーティスト宣言後だからこその洗練された演技を存分に発揮しているように思う。
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