美容室で仕上げの際、「分け目はどこで作りますか?」と聞かれて「えっ、いつもと同じでいいんだけど……どこがいいとか、あるものなの?」と疑問に思ったことはありませんか?

元井里奈
毛髪診断士・元井里奈(もといりな)
 美容師さんとしては、好みのスタイリングを聞いているのかもしれませんが、頭皮を大切にする意味では、「いつもと同じ」というのは危険信号です。

◆紫外線から分け目の頭皮を守りましょう

頭頂部の分け目
頭頂部の分け目
 分け目は見た目の印象に大きな影響を与えますが、取り扱いにもちょっとした注意が必要です。美容室の仕上げに限らず、普段の生活においても、分け目は定期的に変えましょう。

 なぜなら、分け目は頭皮が露出しており、紫外線によるダメージを負うからです。毛髪診断士として頭皮チェックをしていると、分け目部分だけ頭皮が日焼けしている方は少なくありません。

 健やかで美しい髪の土台は、健やかな頭皮。美髪のためにも、将来の薄毛や抜け毛を予防するためにも、紫外線から分け目の頭皮を守りましょう。

 ずっと同じ箇所を分け目にするのではなく、定期的に位置を変えて、順番に休ませてあげることが必要です。外出する際はできるだけ帽子やフードをかぶるか、日傘をさすようにすると、なお良しです。頭皮にも使える紫外線カットスプレーなどもありますが、使用する場合にはきちんと頭皮から洗い流すようにしましょう。

◆髪の重さに引っ張られることによるダメージも

 また、紫外線ダメージの他にも、分け目部分の毛根は、常に髪の重さにより一方向に引っ張られていることになります。特に髪が長い方においては、髪も重たくなりますので一層のことです。ひどくなると、「牽引性脱毛」といって脱毛症を引き起こすこともありますので、注意が必要です。

 分け目の話から少し逸れますが、分け目をつくらず、つねにオールバックでポニーテールやお団子にしている場合も、この牽引性脱毛に注意が必要です。

 バレリーナのように、ぎゅっと髪をひっぱって結ぶスタイルを続けていると、ずっと生え際の毛根に負担がかかっていることになるため、薄くなってきてしまうことがあります。大人だけでなく子どもにおいても、気に留めておいたほうがよいでしょう。

 この、「一方向へ毛根が引っ張られている問題」の対策としては、分け目を定期的に変える以外に、毎日のヘアケアでもできることがあります。

◆頭皮ブラッシングで、毛根をストレッチさせる

 筆者は、正しい洗髪方法として、シャンプー前のブラッシングを推奨していますが、このときに分け目の毛根をストレッチさせるのです。シャンプー前ブラッシングの主な目的は、頭皮や髪に付着した汚れを浮かせ、洗い流しやすくすることですが、分け目や頭皮のマッサージも兼ねることができます。

 頭頂部の髪を、一日中引っ張られていた方向と逆方向に流し、その向きに頭皮をブラッシングしてみてください。引っ張られていた毛根が逆方向にストレッチするような感覚を得られると思います。

毛流れと反対に頭皮をブラッシング
毛流れと反対に頭皮をブラッシング
 日頃の負担が大きい人は、この頭皮ブラッシングを行うと軽い傷みを感じることもあるくらいです。痛くない範囲で分け目の毛根をストレッチしてあげましょう。

 頭皮は顔とも繋がっているので、たるみやくすみのケアにも繋がりますよ。

<文・撮影/毛髪診断士 元井里奈>

【元井里奈】

東栄新薬株式会社/取締役。毛髪診断士®/サプリメントアドバイザー/メノポーズ(更年期)カウンセラー。慶應義塾大学卒。髪に悩む女性のためのサプリメント「美ルート」をプロデュース。毛髪、栄養学、女性ホルモンに関する専門知識をもとに、ヘアケアコラムの監修や執筆も行う。2児を育てるワーママでもある。Instagram:@rinam.0922、Twitter:@rinamotoi、ブログ「ワーママ毛髪診断士が教える、35歳から始める育毛・美髪ケア」