デビューした同年に映画『転校生 -さよなら あなた-』(2006)で初主演を飾り、多くの映画賞を受賞。連続ドラマ初出演で初主演を果たしたドラマ『七瀬ふたたび』(2008)でも高い評価を得て、以降も透明感のあるオーラを伴い、多くの作品で魅了してきた蓮佛美沙子さん(31)。
松田龍平さん主演でWOWOWにて放送・配信スタートとなるパニック・スリラー『連続ドラマW 鵜頭川村事件』では、松田さん演じる主人公・岩森の失踪した妻で、物語のキーパーソンとなる女性・仁美と、仁美の故郷にやってきた岩森とともに行動していく仁美の双子の妹・有美の2役を演じています。
そんな蓮佛さんに、初共演となった松田さんの印象のほか、「生きていくことがだんだん楽になってきている」「インプット、アウトプットという概念は、年齢を重ねるにつれてなくなった」という現在の心境について聞きました。
撮影は長野県で行われた
――外部と遮断されてしまった山奥の村で展開する、回を重ねるごとに引き込まれていくパニック・スリラーです。台本を読まれて、そして実際に撮影されていかがでしたか?
蓮佛美沙子さん(以下、蓮佛)「本当に怒濤の展開で、『この先、どうなっていくんだろう』と思いました。仁美はどこに行ったのか、嵐が来て閉じ込められて、この先生きて出られるのか。そんな中で人が殺されて……。さらに一族同士の対立もあって。いくつものストーリーラインが同時に進行していくので、まずは読み物として単純に面白かったです。
実際の撮影では、キャストの皆さんが本当に個性豊かな『みんな絶対になにかある!』と思わせてくださる方ばかりで、お芝居を拝見しているだけでも楽しかったですし、現場でより厚みや作品に漂う不穏さを感じました。長野県でのロケ撮影だったのですが、嵐が過ぎ去ったあとの村を作り込んだ美術も本当に素晴らしかったです」
松田龍平は想像の2倍しゃべる
――主演を務めた松田龍平さんはどんな方でしたか?
蓮佛「今回初めてご一緒しました。とにかく唯一無二の独特の存在感のある方だなと思っていて、それは今回の作品を経ても変わりませんでした。ただ人となりとして、寡黙な方だと思っていたのが、実際にお会いしてみたら、想像の2倍はお話しされる方でした(笑)。お芝居の相談などはほぼなくて、本当にたわいのない話をずっとさせていただきました。すごくおしゃべり好きで、軽やかな面白い人という印象です」
生きていくことがだんだん楽になってきた
――蓮佛さんご自身についても教えてください。10代からお仕事をされていて、その上で大学に進んで児童文学を学び、卒業もきちんとされました。
蓮佛「私の通っていた高校は同業の子も多かったので、大学進学はレアケースでした。進学を選んだのは、当時はアウトプットする環境だけになるのが怖かったからだと思います。プライベートでインプットする時間や環境がなくなるんじゃないかという恐れがあったというか。なので大学で学びたい意欲があったのと同時に、ただただ大学という場に行きたかった。友達と課題をしたり流行っている物事の話をしたり、私はしていませんが就活の話を聞いたり。色々な経験をできて、実際に行って良かったと思っています。でも、当時縛られていたようなインプット、アウトプットという概念は、年齢を重ねるにつれてなくなった気がします」
――というのは?
蓮佛「生きていれば全てがインプットになると気づいたのかな。大学時代に友達を作って、一緒に色んな経験をしたのも、自分の仕事のためにしていたわけではないですし。自然と経験値が増えていくなかで、意識的にしなくても、今では自分が心地よくインプットもアウトプットもできる状態になれている気がします。実は生きていくことがだんだん楽になってきているんです」