NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(2021~2022年)でヒロインの少女時代を演じた新津ちせ主演映画『凪の島』が、2022年8月19日(金)から劇場公開された。
瀬戸内の美しい海に囲まれた島を舞台に、都会から来た少女・凪(新津ちせ)が同級生や大人たちと交流する姿が描かれる本作。海辺に暮らす人々の温かさが全編を包み込んでいる。中でも、青年漁師・浩平の開放的な優しさは特筆すべきものがある。
そこで「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、浩平役の結木滉星さんにインタビューを行なった。吃音を持つ浩平役を通じて結木さんが感じ、体現した力強い人物像に迫る。
吃音を持つ浩平役への印象
――脚本を読んだときの印象を教えてください。
結木滉星(以下、結木):ほっこりと温かい気持ちになりました。一方で浩平役を演じる上でのフィルターがかかっていると思いました。
それが本読みの段階で長澤監督から浩平にとって「ひとつの癖ぐらい」だと言われ、浩平の吃音への考え方や寄り添い方が変わりました。
――浩平の一言一言には、とても前向きな意思を感じます。
結木:ほんとうに優しい人で、その優しさを嫌みなく与えることができる素敵な人だと思います。
――浩平と共通するところはありますか?
結木:明るいところです。みんなと楽しくいたほうがハッピーになれる考え方が同じです。僕は行動する前に考えてしまうタイプですが、浩平には真っ直ぐに進めるカッコよさがあります。漁師として生命力を感じさせる浩平を演じていくうちに、徐々に海の男に近づきました。
「自分と向き合ういい時間」となった撮影現場
――全編で水面の美しさがひと際印象的だった瀬戸内の島での撮影はどうでしたか?
結木:周りには海しかありませんでした。ゆっくりと時間が進んでいる島の空気感が映画にでていると思います。
――ゆったりとした空気感はまさに浩平のキャラクター性にでています。
結木:確かにそうですね。実はスタッフには山口県の方が多く、とにかく人柄がいいんです。こちらが自然と優しい気持ちになれるんです。その優しさがそのまま映像にでています。
山口県には1ヶ月近くお邪魔していましたが、自分と向き合ういい時間でした。撮影がオフのときは、海を眺めて黄昏れていました。
子役たちとの撮影は「初心を思い出させてくれた」
――どんなことを考えていましたか?
結木:ぼーっとしているんです。都内の喧騒にいるとなかなかできません。デジタルデトックスされたその時間が心地よかったです。
――その意味で子どもたちとの撮影時間も充実したものでしたか?
結木:とても可愛いなと思いました。主人公である凪役の新津ちせちゃんのお芝居を近くで見ていて、まだ何色にも染まっていない今の彼女とお芝居できるのは僕たちだけなんだと感動しました。初心を思い出させてくれる貴重な時間でした。
――新津さんとの撮影中のエピソードはありますか?
結木:カメラが回っていないところでも二人で一緒に泳いでいました。周りからすると現場に子どもが二人いる感覚だったと思います(笑)。