一条岬による人気恋愛小説を映画化した『今夜、世界からこの恋が消えても』が大ヒット公開中だ。

松本穂香・25歳、“長年の夢”を明かす「ジブリ作品の声優をやってみたい」
(画像=松本穂香さん、『女子SPA!』より引用)

 眠るとその日の記憶をすべて失ってしまう真織(福本莉子)と彼女を献身的に支えようとする透(道枝駿佑)との純愛が描かれる本作。「なにわ男子」道枝と2016年に「東宝シンデレラオーディション」でグランプリを受賞し芸能界入りした福本の透明感が、主人公たちの繊細な心の動きを伝える。

 今回は、「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、道枝演じる透の姉・早苗役を演じた松本穂香さん(25歳)にインタビューを行った。道枝の存在に感動しながら、姉弟の関係性について「自然と空気感を掴めた」と話す松本さん。初めてリードする立場で挑んだ早苗役で見えたものとは?

「早苗役に対する大きな優しさをイメージ」

松本穂香・25歳、“長年の夢”を明かす「ジブリ作品の声優をやってみたい」
(画像=©2022「今夜、世界からこの恋が消えても」製作委員会、『女子SPA!』より引用)

――まず神谷早苗役を演じた率直な感想をお願いします。

松本穂香(以下、松本):これまでは上司の下で頑張る新米のような役が比較的多かったので、早苗のように主人公を支える役を初めて演じました。年下の俳優さんがいらっしゃるのがとても新鮮で、気を張る現場でもありました。

――井之脇海さん主演映画『ミュジコフィリア』(2021年)の凪役など、芯が強く、透明感のある役柄を多く演じています。それが早苗役ではぐっと大人の魅力をまとわせながら、より深い透明感を感じました。あまり演じてこなかった役柄をどのようにして自分に引き寄せていったんでしょうか?

松本:彼女は何となくただ優しいというより、いろんな経験を積み重ねてきた中で静かにそこにいる人です。そこには否定もないし、すべてを肯定するわけでもない。早苗役に対する大きな優しさをイメージしました。

 さらに早苗の弟である本作の主人公・透を演じた道枝駿佑さんとの掛け合いが重要でした。実は道枝さんとは、撮影中2日間しかお会いしていないんです。年上の方たちばかりの現場で話しかけていただく側だった自分が、短い撮影期間の現場で率先して話しかけるアプローチを試みました。

自然と掴んだ姉と弟の空気感

――主演の道枝さんとは2日間しか共演しなかったんですね。どうやって姉弟の空気感を作ったんですか?

松本:特にお芝居のプランを話し合ったわけではありません。撮影の合間に、「なにわ男子」メンバーとの関係性など、お互いの私的な話をしました。ほんとうに可愛らしい方だなと思いました(笑)。道枝さんとは6歳くらい年が離れているので、自然とお姉さんの気持ちになれました。

――道枝さんの実年齢が役柄に近いですね。

松本:そうですね。私は25歳ですが、道枝さんにも実際に私と同世代のお姉さんがいると聞いて、お互いに、自然と空気感を掴めたんだと思います。

――小説家である早苗の出版記念サイン会のあと、ホテルのラウンジで透と会話する場面があります。久しぶりに会った弟をみつめる早苗の凛とした表情が素晴らしかったです。あの瞬間、どういう気持ちで演技していたのか、気になりました。

松本:姉弟だけど、独特な空気感で、ちょっとした緊張感がありますよね。それは演じているときにも感じていたことです。ただ、道枝さんは非常に真っ直ぐ透として存在していました。台詞もほんとうにお姉ちゃんのことを気遣うように伝えてくれるんです。そんな道枝さんに感動しながら、あの場面では姉としていられたのだと思います。

――透が福本莉子さん演じる真織の病気について話します。基本的には姉の立場から弟を慈しんで聞いていますが、どこかに小説家的な俯瞰の視点はなかったでしょうか?

松本:何が起こってもおかしくないという価値観がないとあの話を受け入れることは難しいと思います。何でも受け入れる心を持っているのは、きっと小説家ならではなのかなと思います。

リードする立場として学んだこと

松本穂香・25歳、“長年の夢”を明かす「ジブリ作品の声優をやってみたい」
(画像=『女子SPA!』より引用)

――三木孝浩監督とは、『青空エール』(2016年)以来、6年ぶりの現場です。透と早苗の関係性をみて三木監督からはどんなアドバイスがありましたか?

松本:久しぶりにお会いして、優しく声を掛けてくださいました。道枝さんに対しても寄り添うような演出をされていて、素敵だなと思いました。そのままの状態の道枝さんでももちろん素晴らしいですが、もっといいところを引き出し、映そうとされているのを感じました。だからこそ、私のお芝居で演出に時間をかけさせてはいけないと思いました(笑)。

――その意味でリードする立場で、挑戦的な役柄であったと思います。早苗役を演じ終えて何か変化はありますか?

松本:ほんとうにありがたいことに主演として支えてもらう立場が多かった分、周りで支えることの大変さを学びました。周りの俳優さんたちはこんなに大変なことをされていたんだと痛感しました。

 主演として全体の真ん中に立つことよりも、その真ん中に導く大変さやプレッシャーがあると思いました。