インチキを見破られた霊媒師
霊媒師はおおぬさをさらに大きく振りながら、呪文らしき言葉を断続的に口にしながら友里さんを鋭く見つめ、最後に右足を床に叩きつけました。
「原因は同僚の女性にありそうです。その方に強い生霊が憑依していますから距離を置いてください」 霊媒師は絞るような声でそう告げました。
その言葉を耳にした友里さんは、霊媒師がインチキであることを確信しました。なぜなら、友里さんの職場にはここ数年女性スタッフはおらず、彼女が紅一点だったからです。
「私の職場、女性は私一人なんですけど」 友里さんは低めのトーンで一言ゆっくりと呟いたそうです。
その言葉を耳にした霊媒師はあからさまに目を泳がせ「あ、過去にいらした方…ですね」と言い直しますが、すでに後の祭り。友里さんと母親の無言の視線に耐えかねたのか「本日は特別にお祓いの料金は結構です」と、お祓い道具をカバンにしまってそそくさと帰っていったそうです。
心を入れ替えて掃除することに
霊媒師のインチキ除霊を目の当たりにした母親は、その後気が抜けたようにリビングでうなだれていたそうです。その様子を見た友里さんは母親に「母さんありがと。私がちゃんとしていればこんなことにならなかったのにね。私が変わらないとね」と、伝えたそうです。
「仕事も大切なんですけど、もっと大切なものが今回の件で分かったような気がします。これからは少しずつ部屋をきれいにして、近い将来に母親を招待しようと思います」と、しみじみ語った友里さん。お母さんの愛情が実を結んだそうで何よりですね。
―シリーズ「ヤバい家族/義家族で苦労エピソード」―
<文/大杉沙樹>
大杉沙樹
わんぱく2児の母親というお仕事と、ライターを掛け持ちするアラフォー女子。昨今の情勢でアジアに単身赴任中の夫は帰国できず。家族団欒夢見てがんばってます。
提供・女子SPA!
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