忘れられたら楽なのに、忘れられないほど愛おしい
淡々と課題をこなしていくうちに、徐々に見え隠れする過去のかけら。流れる音楽に自然と動きだし踊りだす体、無意識に選んだ林檎に不意に答えてしまった住所。少しずつ撒かれた違和感はラストで回収され、男が胸の奥に抱えていたものの切なさ、溢れこぼれた悲しみがぐっと迫ってくる。
忘れられたら楽なのに、忘れられないほど愛おしい。だから、その喪失も抱えてひとり、あなたのいない世界で生きていくと決めた。この痛みもいつか薄れていくけれど、せめて記憶のあるうちは。今日は、林檎を買って帰ろう。全部全部、覚えておくために。
『林檎とポラロイド』 監督・脚本/クリストス・ニク 出演/アリス・セルヴェタリス、ソフィア・ゲオルゴヴァシリ 配給/ビターズ・エンド ©2020 Boo Productions and Lava Films
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<文/宇垣美里> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 宇垣美里 ’91年、兵庫県生まれ。同志社大学を卒業後、’14年にTBSに入社しアナウンサーとして活躍。’19年3月に退社した後はオスカープロモーションに所属し、テレビやCM出演のほか、執筆業も行うなど幅広く活躍している。
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