投資雑誌や金融メディアを賑わせる銘柄の多くは、派手な値動きをする「大化け株」である。好材料によって株価が急激に上がった株や好調な業績を投資家の期待に合わせて更新していくことでゆっくりと株価を上昇させてきた株など様々だ。

ただ残念ながら多くの個人投資家がそのような株を知るのは大化けした後のことであり、その後に株を買っても上昇余地が小さかったり、大口投資家の利益確定の売りに巻き込まれてしまうことすらある。そんなことにならないためにも大化け株の特徴を知っておこう。(記事内株価は2018年2月26日終値)

「チャート妙味」――みんなが買いたくなるチャートとは?

株価チャートを見ると皆が買いたくなってしまうタイミングがいくつか存在する。たとえば、下落トレンドにあった株式が下げ止まり、株価が上昇し始めるタイミングや株価横ばいのこう着状態を突破して株価が上昇を始めたタイミング(ブレイクアウトと呼ばれる)などがそれに当たる。

しかし、投資家が特に強気になるチャート妙味のあるパターンは「青天井」と呼ばれる状態である。青天井は過去の高値をすべて通過して、現在の株価が進行形で高値を作り続ける状態のこと。

青天井とは、その上値である高値がすべてなくなることであり、あえて株式を売る必要のない状態である。

投資家も人間であるので、過去の高値や取引がたくさん行われた価格帯ではいったん様子見をするために株を売ることがある。これは「上値が重い」とも表現される。

多くの大化け銘柄の長期チャートを確認してみよう。ほとんどの銘柄が、過去の高値を突破したタイミング(上場来高値とも呼ばれる)があるはずだ。もし現在そんな銘柄があるとすれば数ヶ月後、数年後には株価も大化けしているかもしれない。

「出来高」――株価の動きのバロメーター

出来高は株の取引量のことであり、その株がどれくらい投資家から人気がある株なのかを測る尺度とも言える。一般的には株価が低い値段で、かつ大手企業の出来高が多くなりがちである。

たとえば、みずほ銀行 <8411> の株価は201.2円と低めでかつ大企業だ。こちらの出来高は約8500万株と上場株式の中ではトップクラスの出来高である。ただ、このような企業の株は普段から出来高が多いので、大化け株となる可能性は残念ながら低い。

大化け株を見つけるために出来高を使うのであれば、出来高が増加し始めた株式を見つけよう。

例を挙げると、ヤーマン <6630> の株価は2016年8月の219円から9月までのおそよ一ヶ月間で391円まで上昇させている。8月の出来高6256000株だった同社の出来高は9月には2203万3000株まで増加している。ちなみに、この同社の株式はその後1年程度で2279円まで株価を上げて投資家を驚かせたことは記憶に新しい。

株式が大きく上昇を後押しする投資家間の売買の記録として出来高にも注目しておきたいところだ。

「話題性」――株価を押し上げる人間の単純な心理

大化け株に成るには結局のところ話題性が必要である。チャート妙味を生み出すのも、出来高を急増させるのも話題性にインパクトがあるほどその後の株価上昇の持続力が高くなる。

2017年に投資家の間で話題となった「ライザップ祭り」が良い例である。この年の前半にライザップが業績不振気味の企業を次々と傘下におさめた。SDエンターテイメントやマルコ、ジーンズメイトといった株式が次々に株価を大幅上昇させていった。

これは株式投資以外にも言えることで、例えばインターネットのニュースでもインパクトがあるほど多くの人の注目を集める状態になることがある。話題が集まり始めるタイミングで株を仕込み、一番話が盛り上がっているタイミングで売り抜けるというのが最も賢い投資家のやり方でもある。

大化け株は行き過ぎることがある

投資家の資金が集まるところでは必ず大化け株は生まれるものである。ただ大化け株の負の側面として株価が行き過ぎることがあるということは覚えておきたい。大化けしているからといって安易に手を出してしまうと高値を掴んでしまうこともある。

そうならないためにも大化け株を高値で取引する投資家でなく、大化け株になる前に株を買う賢い投資家になりたいものである。

文・谷山歩(個人投資家)/ZUU online

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