ドラマ『僕の姉ちゃん』(テレビ東京系、水曜深夜1時~)の“癒し力”が素晴らしい。

「女に無意識などない!」黒木華の名言が刺さる『僕の姉ちゃん』は途中からでも観るべし
(画像=テレビ東京 『僕の姉ちゃん』公式サイト、『女子SPA!』より引用)

昨年「Amazon Prime Video」で先行独占配信された作品で、少し独特ながらも心がほぐれる世界観に魅了されます。筆者は、ながら見含めるともう4回転しました。2022年7月より待望のテレビ放送がテレビ東京で開始。何話から見ても楽しめる『僕の姉ちゃん』の魅力をご紹介します。

益田ミリ原作の世界観を「テンポ」で見事に表現

女性誌『anan』で長期連載中、女性を中心に幅広い支持を得ている漫画家・益田ミリ氏による同名原作をドラマ化した本作。親の海外赴任により、“つかの間ふたり暮らし”をすることになった姉と弟の日常を描いた物語です。

しっかり者でユーモラスな発言をする輸入家電会社勤務の30歳・姉・ちはる(黒木華)と、社会人1年目の素直でおっとりしたメーカー勤務の23歳・弟・順平(杉野遥亮)。そんなふたりの会話劇を中心に、姉弟の仕事や恋、人生観を描いています。姉と弟という「知っているようで、そんなに知らない」関係だから生まれる絶妙な距離感を、原作同様に表現する黒木×杉野の演技も見どころです。

そして、本作の魅力はなんといっても“テンポ”だと筆者は思います。会話のテンポ、話が進むテンポ、音楽のテンポ、それらすべてが心地よいのです。姉と弟の会話は夜のリビングで繰り広げられることが多く、それぞれが好きなものを飲んだり食べたり、読書やテレビを観るなど完全なオフ状態。のんびりした空気感に、ぐさっとささる姉ちゃんのひと言がたまりません。

ただゆるゆるした時間が流れるのではなく、台詞やオンオフの場面転換、劇伴で表現されるメリハリで、観るものを飽きさせない。日常系ゆったりドラマと見せかけて、順平が社会人としてゆるゆると…でも確実に成長していく様が描かれているのもポイントです。

黒木華“姉ちゃん”が発する名言の数々が沁みる

この作品では、ちはるが「弟よ…」と多くの名言を発することでも話題になっています。

「女に無意識などない!」「女の本気度は毛で分かることもある」「アンタのいいところは、別にアンタが知らなくてもいいんでないかい?」…など、書き出したらキリがないほど、共感できる台詞が散りばめられているのです(個人的には「1日10時間くらいの結婚でいいなぁ」がぶっささり)。

「女に無意識などない!」黒木華の名言が刺さる『僕の姉ちゃん』は途中からでも観るべし
(画像=益田ミリ『僕の姉ちゃん』(画像はリリースより)、『女子SPA!』より引用)

映像化にあたり下手をすると説教くさい、うるさい姉になってしまう懸念もあったところを、黒木の絶妙な演技により、まさに“僕の姉ちゃん”を創り上げています。身内だからこその辛辣(しんらつ)さはありますが、言葉や表情の端々から弟への愛情が感じられるから優しい気持ちにすらなるのです。

家で前髪をヤワラちゃんのように結び、存分にオフを満喫するちはるはとても魅力的。それは、仕事やデート・女子会となれば、完璧なメイク・コーディネートで出来る女子として振舞っているコントラストにより、より一層際立ちます。そして、そんな完全オフのちはるの魅力を知っているのは弟・順平だけという世界観がまたたまりません。