ポリティカル・コレクトネス(差別的な表現をなくそうとする概念)の意識が広まり、人種や宗教、性別などに対する差別的な表現が自重されるようになった。とは言え、まだまだ配慮が行き届かず、有名人がバッシングに曝されるケースは少なくない。
そして、ここ最近エンタメ業界では差別的な表現が問題視されるケースが相次いでいる。
人気バンドが米ガールズバンドの日本語MCをイジる
まず、8月20日~21日に開催された都市型ロック・フェスティバル「SUMMER SONIC 2022」(通称サマソニ)でのこと。20日のステージに登場したマキシマム ザ ホルモンは、他の出演していた外国のバンドを真似て、片言の日本語でMCをしたことで大きな批判を集めている。
その真似した外国のバンドはアメリカのガールズバンド・THE LINDA LINDASであり、ブルーハーツの名曲「リンダリンダ」にインスパイアされてバンド名がつけられた。加えて、メンバーは最年長が17歳、最年少が11歳ととても若い。差別的な部分も問題ではあるが、日本のロックバンドに好意を寄せた若者達をイジるMCをしてしまったのでは、さすがに批判されるのも仕方ない。
King Gnuは乳首にテープを貼って「マネスキンです」
また、同日にこれまた人気バンドのKing Gnuのメンバーの1人が、乳首にテープを貼って「マネスキンです」とステージ上で発言したことにも厳しい視線が注がれている。
マネスキンはKing Gnuの出番前に出演したイタリアのロックバンドであり、女性ベーシストであるヴィクトリア・デ・アンジェリスはトップレスで乳首の部分をテープで隠す、という斬新なステージ衣装で知られている。なぜヴィクトリアが奇抜な衣装を着ているのかというと、女性らしさを押し付ける現代社会に対するアンチテーゼであり、自分らしさを主張するための意思表示だからだ。
強く明確な信念を持ったヴィクトリアの衣装をイジッたのだから、King Gnuに不快感を示す声が多いのも頷ける。