北海道の洞爺湖と内浦湾の間にある737メートルの活火山、有珠山。1910年の噴火で洞爺湖温泉、1943年~1945年の活動で昭和新山を作りだし、1977年の噴火では500億円を越える経済損失を発生させるなど、活発な火山活動を繰り返しています。そしてそんな有珠山が、2000年にも噴火を起こしました。人的被害はなかったものの、国道230号が断層によって不通になり、周囲の建物が噴石により被害を受けました。今回は、その時の噴火の脅威を見て学ぶことができる有珠山西山山麓火口散策路をご紹介します。
2000年3月31日、北海道・有珠山噴火
2000年3月27日、有珠山噴火の予兆となる群発地震が発生し、地殻変動が起こりました。4日後の3月31日には有珠山西側の西山山麓で噴火が発生し、4月1日には有珠山北西の金毘羅山でも噴火が発生します。
ですが、過去の経験からハザードマップが作成されていたこと、周辺住民の意識が高く事前に15,000人以上が避難をしていたことから、1人の犠牲者も出ませんでした。人的被害こそなかったものの地殻変動と噴石により国道230号や周囲の建物は大きな被害を受け、使用できなくなりました。
当時の被害の様子を見て学べる西山山麓火口散策路
2002年になると、災害にあった建物や道路をそのまま残した西山山麓火口散策路が整備され、当時の被害の様子を歩きながら見て学ぶことができるようになりました。
北口と南口2つの出入り口がありますが、バスは北口にしか停まらないので、自家用車・レンタカー・タクシーを使わない場合は北口から入ることになります。
この散策路は洞爺湖有珠山ジオパーク内にある12個の散策路のうちの1つで、全長1.8キロ、1時間強で回れます。ただし周遊路ではなく、北口から入って南口から出ても帰る手段がないため、タクシーを呼ぶか引き返す必要があります。引き返す場合、休憩も入れて2時間半は見ておきましょう。
洞爺駅からバスで15分ほどの「西山火口停留所」で下車すると、目の前に消防署だった建物があります。地殻変動により床は4度傾いていますが、解放されており出入りすることができます。火山資料が展示されていますが量は少ないため、どちらかというと休憩場所として使うと良いでしょう。
以下に、有珠山西山山麓火口散策路内の主な見どころをご紹介します。
元は国道だった西山火口沼
元消防署の裏にある水たまりは、「西山火口沼」と呼ばれています。元は国道230号でしたが、地面が隆起してできた窪地に水がたまり沼となったものです。
電柱や廃屋、「止まれ」の標識、乗り捨てられた白い車が、かつてここが車道であったことを物語っています。
階段状に断層化した町道泉公園線
1977年の噴火の際に避難路として作られた町道泉公園線も、噴火で使えなくなりました。大地が70メートルも隆起した結果、地表が引っ張られて階段状に割れ、陥没してしまっています。当然立ち入りはできませんが、となりに散策路が作られており、さらに先に進むことができます。
被災した「わかさいも本舗」の工場
第二展望台から見える巨大な建物は、北海道が誇る銘菓、わかさいもを製造していた「わかさいも本舗」の工場です。被災により、一時的にわかさいもの生産拠点を登別工場に移すこととなりました。