『わたし史上最高のおしゃれになる!』『お金をかけずにシックなおしゃれ』などの著書があるファッションブロガー小林直子さんが、愛用しているアイテムをご紹介します。
ノスタルジックなパールのネックレス
パールのネックレスのことを考えると、どこかノスタルジックな気分になります。それはきっと、昭和の時代のお母さんたちの多くがパールのネックレスをしていたり、持っていたりしたことを覚えているからでしょう。
必ずしも、マリリン・モンローが持っていたパールネックレスと同じブランドのものではないけれども、どこかで買ったものか、買ってもらったものか、または贈られたパールのネックレスで、昭和のお母さんたちはそれを引き出しの奥か、または宝石箱にしのばせて、時々うっとりしながら取り出してみては、またしまうといったことを繰り返していたのではないかと想像します。
2000年になる前ぐらいまでのファッション誌には、「女性が持つべきジュエリー」としてパールのネックレスが推奨され、それを見る私たちも、その値段を見てはため息をつきながら、いつかは欲しいな、などと思っていたものでした。
しかし変化が起こりました。ほとんどの女性たちにパールのネックレスがいきわたったと、誰かが判断したのでしょうか。ある時期を境にパールネックレス推奨キャンペーンはなりをひそめ、そのかわりに一粒ダイヤモンドのペンダントが「女性が持つべきジュエリー」として出現。
昭和のお母さんの娘の世代にとって、パールのネックレスは必ずしも「女性が持つべきジュエリー」ではなくなり、街中でパールのネックレスを見る機会はもっぱら上から下まで黒ずくめの弔問客の首元ばかり、という時期が長く続いていたように思います。
パールが似合うフォーマルな場面はそう多くない
自分のものかどうかはさておき、家の中のどこかにパールのネックレスをしまっている人は多いはず。だけれども、日常的にしている人はぐっと少ない。
その理由はきっと、高価なパールのネックレスはカジュアルな装いよりも、フォーマルな装いのほうがお似合いで、そんなフォーマルな装いが必要な場面というものは、めったにないものだからでしょう。
韓国ドラマきっかけで、パールを普段使いに
そういう私も他界した母親が持っていた2本のパールのネックレスについて、そのうちの1本は値札がついたままの新品であるにもかかわらず、あえて日常的に使おうとは思いませんでした。理由は私の普段のスタイルには合わないと感じていたから。
それがパールのネックレスの普段使いについていいなと思ったのは去年のこと。
『海街チャチャチャ』という韓国ドラマを見ていたら、主人公の歯科医の女性がボーダーシャツにパールのネックレスというスタイルで登場。よく見ると、それは普通のパールのネックレスではなく、途中にパールではないパーツがアシンメトリーに配してあるものでした。
そうすることによって、パールのフォーマル感が薄れ、俄然とカジュアルなスタイルに合わせやすくなるということが、このドラマを見てわかりました。