政府は2023年度から出産育児一時金の増額を発表しました。一方で、かえって出産費用が増えることも懸念されています。本記事では出産費用が増えるカラクリを解説します。
42万円もらえる出産育児一時金とは
出産育児一時金は子どもを出産した人に対して(国民)健康保険から支給される給付金です。支給額は原則として1児につき42万円(一部、40万8,000円の場合あり )です。
これは正常分娩には保険が効かないためで、出産に要する経済的負担軽減を目的に、1994年に創設されました。ちなみに創設時は、当時の国立病院の平均分娩料を根拠とした30万円でした。その後、出産費用の増加につれて、出産育児一時金も35万円、38万円、42万円 と順次上がっています。
現状では42万円でまかなえない
出生数の減少、高齢出産の増加による入院長期化等を背景に、出産費用は増加する一方です。厚生労働省によると、2020年度の公的病院での出産にかかる費用の全国平均額は45万2,000円。
公的病院に限らない調査(※)では、最も多いのが「51万円~60万円(30.4%)」で、「61万円~70万円(21.6%)」、「43万円~50万円(15.2%)」と続きます。一方、42万円以下だった人は、なんと調査対象の約7%でした。
※子どもと家族のための緊急提言プロジェクト事務局「出産費用に関するWEB調査の結果(2022年4月調査実施)」