折り紙、武道、盲導犬3つの自分の世界を知った

──島田さんはいろんなことに挑戦してこられましたが、ご自分の楽しみとして、これから挑戦したいということはありますか。

今、私が一番楽しいのは折り紙をしてるとき。失明してからもうひとつ身に付けたものが実用折り紙なんです。120日間ずっと両眼帯をして病院のベッドで寝てまして、そのときに手探りで折り紙を覚えました。頭の中に設計図を描き色も頭に入れて考えるんです。これに関しては他に類を見ないという自信がありますね。本当は大きなポスターなどを使ってしたいんですが、ニスを塗ったりして大変だから今のような仕事をしている限りそこまでできないんです。だから仕事を引退したら本格的にやりたい。これはおそらく死ぬまでできるでしょう。

失明して失ったものも多いけどモネとの生活はそれを差し引いても余りある
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

──失明してから身に付けられたことも多いんですね。

目が見えなくなって素晴らしい自分の世界を知ったのは、折り紙、武道、そして盲導犬の3つ。だから、失明して失ってしまったものもあるけど、得たものもけっこうある。特にモネと生活できたんだから、失明したのもまんざら悪くない。もし今、ぱっと見えるようになったらモネを返さなくちゃいけない。それなら見えない方がいいかなと思えるようになりました。どんなにお金を積んで盲導犬を作ってくださいと頼んでも、失明してないともらえない。これは失明した最大の特典というか、失ったものを差し引いても余りあるもんだと私は思いますよ。

──そういう風に考えられるようになったのはいつごろからですか。

やっぱりモネが自分と一体になったと感じられるようになってからですね。だからユーザーは犬を失ったら再び失明すると言われているんですよ。盲導犬の難しいところはひとりのユーザーに2頭、3頭必要になるわけでしょ。ひとりの障害者の方に多額の費用のかかる犬を2頭、3頭と貸与し続けるのは不合理じゃないか、という御意見もありますけど、失った目が帰ってくるという観点に立って、そしてその人らしいスマートな個性が出てくる。生まれてきてよかったな。目が見えないけど、私のように失明したのもまんざら悪くはないなと思えるようになるのを考えたら、決して高いものではないでしょう。

──兵庫県盲導犬協会の理事として、今後広めていきたいことは。

兵庫県盲導犬協会というのは一番新しい、一番小さい協会なので、まず兵庫県下に1頭でも多くの盲導犬を貸与して、ひとりでも多くの仲間に私のような喜びを味わってもらいたいですね。また、視覚障害者も高齢化していきます。現在、60歳を超えて失明する人が視覚障害者の半分を占めています。年寄りは盲導犬はダメだなんていったら、それだけで半分の方が盲導犬と生活できません。私はそうであってはならないと思っています。私は16歳で失明したから適応能力があったけど、60歳まで一般生活してた人が見えなくなったら大変でしょう。だからそういう人でも意欲があれば、盲導犬と共同訓練できる体制を作ることを、今後考えていけたらいいなと思います。
また同様に、糖尿病などの特定疾患対応も盲導犬ユーザーになれるような協会になればと、願っています。

失明して失ったものも多いけどモネとの生活はそれを差し引いても余りある
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)


提供・犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)

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