《通称「前時代的ブラック飲食店撲滅作戦」を決行する》
7月23日の夕方。ツイッターに投稿されたこんな言葉が、すべてのはじまりだった。
「有名中華チェーン『大阪王将』の店舗で働いていた男性が、24日に同店舗を運営する企業を退職すると、店舗に大量の害虫が出る不衛生な環境であることをツイッターで暴露し始めたのです。ネットでは大炎上する騒ぎに発展しました」(ネットニュース編集者)
今回問題となったのは『ファイブエム商事』がフランチャイズ店として運営する『大阪王将』仙台中田店と仙台西多賀ベガロポリス店の2店舗。どれほど酷い状態だったのか。元従業員の男性に話を聞いた。
「’18年に『ファイブエム商事』に入社し、『大阪王将』中田店で働き始めました。当時から決してキレイではなかったのですが、僕も初めて飲食店で働いたので、こういうものだと思っていました」(元従業員の男性、以下同)
’21年3月には西多賀ベガロポリス店に異動となった。
「ベガロポリス店は当時の中田店よりもはるかに汚い状況でした。冷蔵庫の下を水で流すとウジ虫が大量に流れてくるんです……水が真っ白になるぐらい。そこで、こんな衛生環境で料理を提供するのはおかしいと、疑問を持つようになったのです」
昨年12月には、再び中田店に異動となったが、
「お店が荒れ放題になっていて……。ゴキブリはもう毎日……1日に最低2匹は駆除していました。調理場には使われていない洗濯機が置かれていたのですが、掃除しようと洗濯機の中をのぞいたらゴキブリが3匹ぐらい蠢(うごめ)いていて」
ナメクジ大量発生の店舗では野良猫も飼育
ゴキブリが洗濯機内で大量繁殖していたのかも……。
「ゴキブリだけじゃなく野良猫も飼っていて、腐った食材で作った料理を提供しているのも見たことがあります。さらにはナメクジが大量発生したことも。冷蔵庫の内部では6匹ほど列をなしていたことがありますし、調理器具の上を這っていたこともありましたね。店長にLINEで相談しても“ザルにもいるから気をつけて”と返事があっただけでした」
ナメクジが媒介する広東住血線虫(かんとんじゅうけっせんちゅう)という寄生虫が体内に入ると、死に至ることもある。料理に混入したナメクジを、もし客が食べたら……と思うとゾッとする。
「人の命に関わることなのですが、店長は“ナメクジはしょうがない”と言うだけ。『ファイブエム商事』の幹部に衛生面の改善について掛け合ったのですが、変わらない。『大阪王将』の本部は衛生監査を毎年行いますが、問題があっても“改善するように”と指示するだけ。保健所の検査もザルです。これじゃあ何の意味もない」
だったら自分で変えるしかない。そう考え、男性は懸命に働いた。
「アルバイトに清掃方法を教えたり、ひとりで掃除をしたり……。本当にいろんな努力をしましたが、問題が多すぎて、改善することが全然できなかったのです。掃除していたら、店長から“掃除より食材の仕込みをやって”と言われたこともありました」
ただ、告発の発端は会社への強い“恨み”なのだという。
「従業員を人とも思わない会社を許せなかったんです。レジのお金が足りないときはアルバイトに自腹で補填させたり、労働時間を50時間ほど少なく改ざんされたり……。これまでのことがあったので『大阪王将』本社と保健所に言っても無駄だと思い、自らの口で伝えようとSNSで告発したのです」
衛生面以外にも、さまざまな問題があると男性は主張する。事実確認のため、『ファイブエム商事』を訪ねたが、
「調査中のため答えられない」
と話すだけ。同社社長に話を聞こうと自宅を訪ね、インターホンを押したが応答はなかった。