4.何か様子が変だと感じたら重症の可能性大

すっかり元気も無くなり、「食欲が落ちる」「嘔吐」「体重減少」「貧血」「毛艶が悪い」などの症状が現れると、ネフロンの崩壊が進み、低タンパク食や吸着剤では軽減しきれないくらいに体の中に老廃物がたまっていると考えられます。

いわゆる尿毒症という状態なのです。ここまでくると、重症の状態です。

体重減少が現れた時期からは、十分なエネルギーを食事によって摂取できなくなってきています。
食事を十分に取れないために体内のタンパク質をエネルギー源として利用し、体重が落ちてきているともいえます。

重症の段階に至ると、もはや低タンパク食はその意味を失います。
科学的によく研究された猫の腎不全用低タンパク食のタンパク質含量は30%ですが、これは犬の発育期用フードのタンパク質含量に匹敵します。
つまり、犬の高タンパク食レベルのタンパク質が、腎不全の猫には必要だということを示しているのです。

このように、体のタンパク質を維持するために、あえてタンパク質の制限をすベきでない場合も多く、輸液療法主体の治療にもなります。

5.腎不全は治せない病気

猫の「慢性腎不全」は、数年という年月をかけて徐々に腎臓の組織が破壊されていく(ネフロンが失われていく)進行性の病気です。
猫はその状態にうまく適応してよく耐えてくれます。
だからこそ、早い時期に発見し、ネフロンをなるべく温存していくようなホームケアが、大切な猫と共に暮らせる期間を大きく左右するともいえるのです。

6.6歳を過ぎたら定期検診を

「何か様子が変だわ…」と気づいた時はすでに重症、ということにならないように、「多飲多尿」というキーワードと定期健診を、決して忘れないようにしてください。

慢性腎不全の発症は、6歳を境に急激に増加します。
「多飲多尿」のサインに気づかず、「今まで健康だとばかり思っていたわ…」とおっしゃる飼い主さんが多いことも事実です。

6歳を過ぎれば定期的に健康診断を受け、血液や尿の状態を知ることはとても意味のあることなのです。


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