ホンジュラスとコスタリカに挟まれたニカラグア共和国は、中南米でもっとも面積が広い国です。ニカラグア西部にあるマナグア湖畔にそびえ立つモモトンボ火山を中心にコーヒー栽培が盛んなニカラグアは、隣国にも負けないほど質の良いコーヒーを収穫できることで知られています。
本記事では、日本では知名度が低いニカラグアのコーヒーの特徴と、2022年にニカラグアで開催されたCOE(カップ・オブ・エクセレンス)の結果をご紹介します。
希少な品種もあるニカラグアのコーヒー
ニカラグアのコーヒーチェリーが収穫される時期は、10月から3月の間です。
コーヒーが国の主要輸出作物となっているニカラグアでは、1850年代から大規模なコーヒー生産が開始され、現在ではスペシャルティコーヒーの生産国のひとつに数えられるようになりました。
ニカラグアのコーヒーの特徴は?
世界有数の火山地帯を有し、「火の国」と呼ばれることもあるニカラグア。
標高が高い火山地帯の土壌はミネラルが豊富で、昼夜の寒暖差があるためコーヒー栽培に適しています。ニカラグアの首都マナグアは、ニカラグア最大のコーヒー生産地です。
そのほか、ニカラグア北部にあるヌエバ・セゴビア県、ニカラグア西南部にあるカラソ県ヒノテペ市、ニカラグア中部にあるマタガルパ県マタガルパ市で収穫されたコーヒーなどが、品質の良さで高く評価されています。
ブラジルで生産されているコーヒーの品種はアラビカ種のブルボン、カトゥアイ、カトゥーラ、ムンドノーボなどに対して、ニカラグアではブルボン、パカマラ、マラゴジッべ、そして希少なジャバニカといった品種が生産されています。
ジャバニカはエチオピア起源の品種で、オランダ人たちによってインドネシア・ジャワ島に持ち込まれたアラビカ種がニカラグアに伝えられ、ジャバニカと呼ばれるようになりました。ジャバニカはマタガルバにある農園の限られた生産者の間でしか栽培されていないため、とくに希少性の高い品種です。
昼夜の寒暖差が大きいほどコーヒー豆の味が凝縮されておいしくなるため、標高が高い地域で収穫されたコーヒーほどランクが高くなります。
天日干しで乾燥させるナチュラル精製されたニカラグアのコーヒーは、フルーティーかつ爽やかな酸味と甘みのすばらしい風味が特徴です。
ニカラグアのCup of Excellence(カップ・オブ・エクセレンス)
アメリカ・オレゴン州ポートランドに拠点を置く非営利団体「Alliance for Coffee Excellence」が運営するCup of Excellence(カップ・オブ・エクセレンス)。カップ・オブ・エクセレンス(COE)とはコーヒーの品質向上を目的に行われる品評会のことで、1999年にブラジルで開催されたのが最初のCOEだといわれています。
ブラジルで成功を収めた結果、翌年も同様の品評会が開催されることになり、南米の生産国を中心にCOEが開催されるようになっていきました。
現在ではブラジルをはじめ、ニカラグア、コロンビア、グアテマラ、ホンジュラス、コスタリカ、メキシコ、エルサルバドル、ボリビア、ペルー、ブルンジ、ルワンダ、エチオピア、インドネシアで開催されています。毎年、国ごとに行われるCOEですが、国情勢や予算の都合で中止になる場合もあるのだそう。
中南米では、毎年4月~6月にCOEが開催されることが多く、ニカラグアでもそれらの時期に行われています。2020年のカップ・オブ・エクセレンスとナショナル・ウィナー(National Winner)には、ニカラグアの5地域から出品されたコーヒーが入賞しました。
ナショナルウィナーのロットとは、最低5回のカッピングが行われた後、国内審査員と国際審査員によって85点以上を獲得したコーヒーです。一方、カップ・オブ・エクセレンス 受賞ロットとは、国際審判員による厳正な採点において87点以上を獲得したコーヒーで、「最高品質のコーヒー」と認められたもののことを指します。
COEニカラグア2022の結果は?
第18回目を迎えたCOEニカラグアは、2022年6月に開催されました。カップ・オブ・エクセレンス受傷ロットは、2022年8月4日からオンラインでオークションにかけられる予定です。ここでは、Alliance for Coffee Excellenceによって発表された、その結果をご紹介します。