先輩とのひと夏の思い出

 その後、東京に戻った鈴夏さんは何度か先輩とやり取りをしていたそうですが、1度仕事で東京に来た先輩と食事をしたきり、特に何もなく1年が経ちました。

 鈴夏さんは仕事が忙しく、気が付いたら先輩からの音信もなく次の夏が訪れました。その夏は帰省しない旨と、駅前のカフェのことを母に尋ねたところ、どうやら年末には閉店し、その場所は居酒屋になったのだとか。

「いろいろ想像してみましたけど、あまり詮索するのはよくないと思うので…あの日の時間はドタバタな日々と一緒に、ひと夏のいい思い出として残しておきます」と、少し寂しそうに、でもにこやかに話してくれました。

 今回は、思いもよらずに休暇を潰してしまったものの、嬉しくも切ないひと夏の思い出を話していただきました。皆さんの帰省の思い出には、どのようなものがありますか?一歩日常から離れれば、今回のような刺激的な体験が待っているかもしれません。ただボーっとする時間も大切ですけどね。

―シリーズ「良くも悪くも帰省の思い出」―

<文/浅川玲奈>

浅川玲奈
平安京で生まれ江戸で育ったアラサー文学少女、と自分で言ってしまう婚活マニア。最近の日課は近所の雑貨店で買ってきたサボテンの観察。シアワセになりたいがクチぐせ。


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