犬のアトピーについて
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

まずは生活環境の問題があります。アトピーを発症する犬の多くは、室内で飼われている犬です。
先に述べたように、室内にはアトピーのアレルゲンの中で最も多いチリダニがたくさんいます。また、密閉性の高い室内では湿気がこもりやすく、チリダニがより増えやすい環境になっています。さらに、毎日与える食事やおやつの中にも、ひょっとしたらかゆみの原因になる食物アレルゲンが含まれているかもしれません。
外部から閉ざされた室内では、活発な犬は暇を持て余しやすく、ちょっとしたかゆみに対しても、頻繁になめたり、引っかいたりしやすくなります。このような生活の問題について見直し、犬の寝床を抗ダニ製品にしたり、季節や天候によって空調を工夫したり、食事療法を取り入れたり、積極的に運動量を増やしたりすることは、かゆみの改善につながる可能性があります。

犬のアトピーについて
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)
犬のアトピーについて
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

次に皮膚の問題があります。アトピーの犬の多くは、皮膚そのものにも問題を抱えているのではないか、と考えられています。皮膚は、体の最も外側をおおう最大のバリア(防壁)です。このバリアがしっかり機能しているからこそ、外部から病原体や異物が体内に入ることはできず、体内から水分やその他の重要な成分が外部に漏れ出すこともありません。
アトピーの犬では、このバリアがうまく機能していない可能性があるのです。

犬のアトピーについて
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

皮膚のバリアがうまく機能していないということは、外部からは病原体や異物が侵入しやすくなり、体内からは水分などの成分が外部に出て行きやすくなります。つまり、このようなアトピーの犬の皮膚では、細菌などの病原体が増えやすくなったり、水分が失われてカサカサする一方で、皮膚表面には脂が漏れ出してベタベタしやすくなることもあるのです。 このような皮膚の問題に対しては、主に薬用シャンプーやコンディショナーによるスキンケアが重要になります。細菌が増えすぎてしまった犬には抗菌性シャンプー、乾燥が目立つ犬には保湿性シャンプーやコンディショナー、脂っぽい犬には脂質を溶かすシャンプー、フケの多い犬にはフケを落とすシャンプーなどを使用し、バランスの崩れた皮膚の機能を整えてあげるスキンケアを心がけるようにします。

犬のアトピーについて
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

アトピーの最も大きな問題は、この免疫の問題になります。
アトピーの犬を連れていらした飼い主さんの中には、この子は免疫が弱いのですか?と質問される方がいます。実は、アトピーは免疫が弱いのではなく、むしろ強すぎる病気なのです。ただ間違ってはいけないのは、この強すぎる免疫反応は、決してその犬にとって良い働きをしない、ということです。

本来免疫は、外部から侵入しようとする病原体や異物を攻撃し排除することで体内環境を守ろうとする機能です。ところがアトピーの場合、体にほとんど害のないチリダニ、花粉、食物などに対して、異常に強い免疫反応を起こすために、かえって自分の体を傷つけるほどの炎症反応やかゆみを生じてしまうのです。しかも病原体に対する免疫反応と違い、よりかゆみを生じやすい免疫反応が起こるのです。
そこで、アトピーの犬を治療する場合、この免疫反応を抑える薬剤を使って治療することがあります。この代表的な薬剤としては、ステロイド剤や免疫抑制剤などがあります。どちらも効果的な薬剤で、さまざまなアトピーの犬に使用されています。

ただしこれらの薬剤は、異常な免疫反応を抑える以外にも体に影響を及ぼす可能性がありますから、動物病院で定期検査を受けながら、飲ませ方をきちんと守って服用することが大切です。
また、このような免疫反応を抑える治療のほかに、起こりやすい免疫反応の種類を変える治療も考え出されています。つまり「かゆい免疫反応」が起こりやすいアトピーの犬を「かゆくない免疫反応」が起こりやすい状態に変えることを目的とした治療です。
インターフェロンガンマ療法や減感作(げんかんさ)療法などというものがこれにあたり、どちらも注射によって行われます。手間や時間はかかりますが、副作用の少ない治療として注目されています。

犬のアトピーについて
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

このように、アトピーの犬はいくつかの問題を抱えています。しかも、それぞれの犬によって抱える問題の種類も程度も異なります。
その犬に、できるだけアトピーで苦しまない生活をさせてあげるためには、飼い主さんと獣医さんとが一緒になって、このような問題について良く考え、相談し、理解し合うことが最も重要なことです。そしてアトピーであってもなくても、犬が幸せに生きていくためには、飼い主さんやホームドクターがずっと側で支えてあげること、それを強く自覚することが必要だろうと思います。


提供・犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)

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