浴衣を着る時に、胸元がどうなっているか覚えていますか?右左・左右のどちらが前になっていたでしょうか。着付けを1人で行った時に凛々しく着ていたいですね。その為に気を付けておく事や、着物が着崩れた時の直し方を紹介していきます。
浴衣の胸元の着付けのコツ3選!左右どちらが上?
浴衣の胸元の着付けのコツ①前で手を動かす順は右左
浴衣の胸元を着付けるコツ1つ目は「左右を間違えない事」です。着物に慣れていないと、胸元の前を重ねる順番を、うっかり忘れてしまう事もありますね。では左右どちらが前になるのでしょうか。自分が右手に持っている方の布を、先に体にぴったり合わせて下さい。その後に、左手に持っている方を重ねていきます。
よくある着物の失敗としては、「胸元の合わせの重ね順が右左逆になっている」事です。「左前の着物は死人が着る物」との言葉を、聞いた事があるでしょうか。ここで言う「左前」とは、「自分から見て左が上」ではなく「左を前(先)に動かす」という意味です。
生者が着るのは「右前」なので、手を動かす順番は「右左」となります。「左右」という間違った着方をすると、出かける前に浴衣を着直さなくてはならなくなります。頑張って着付けをしたのに、すぐに解いてやり直さなくてはいけないなんて、大変ですし疲れてしまいますね。前を合わせる時はしっかり確認しましょう。
浴衣の胸元の着付けのコツ②胸元はきっちり
浴衣の胸元を着つけるコツ1つ目は「胸元をしっかり合わせる事」です。浴衣姿がピシッと決まって見えるかどうかは「胸元」次第です。洋服の襟元は、タートルネックの様な物以外は、前がゆったりと開いている物が多いですね。しかし浴衣を着る時は、喉の下の部分にくる、前の合わせはしっかりと詰めて着ます。
予想よりもキチンと前を詰めなくてはいけないので、普段から和装をしている人でもなければ、最初は違和感を覚える事が多いでしょう。しかし、浴衣の胸元は顔の真下にあり、良くも悪くも存在感があります。この部分をしっかりと着付けている事で「キレイに着物を着られている」と人に感じさせる事ができます。
着物を着る時は、着物の端が反対側の胸を覆う位まで深く交差させます。その為、ある程度は意識しなくても前の合わせが締まります。ですが、その後の着付けで自分が動いてしまうと、胸元が徐々に崩れてしまいます。鏡を見て合わせた部分をチェックしながら着付けを進めていきましょう。
浴衣の胸元の着付けのコツ③左右の襟を柔らかく見せる
浴衣の胸元をきちんと合わせられたら、3つ目のコツは「衣紋をしっかり抜いておく」事です。衣紋(えもん)とは、胸元の合わせの事を指し、そこが詰まりすぎて見えない様に「衣紋抜き」をします。どうしてもやらなくてはいけない物ではないですが、衣紋を抜く事で、和服特有の色気も醸し出す事ができます。
では衣紋抜きとは、どうやるのでしょうか。首の真後ろ、襟の真下にあたる部分を下に引っ張ります。首と襟の間がこぶし1つ分位開けば、大体丁度良い程度です。ただ単に浴衣を着るよりも、左右の襟が柔らかく開きます。女性用の和服のみ衣紋抜きを行うので、覚えておくと美しく色香のある装いになります。
浴衣の胸元がはだけない着付けグッズとは?
浴衣の胸元がはだけない着付けグッズ①コーリンベルト
浴衣を着ていても、途中で胸元がはだけない為の道具といえば「コーリンベルト」です。着物・浴衣を所持している方は、持っている方も多いでしょう。この道具は衿の左右の下をクリップで留めて、胸元の着崩れを防止する為のグッズです。右側の脇より下の衿をクリップで挟み、1度浴衣の中を通します。
左側の脇の下「身八つ口(みやつぐち)」からコーリンベルトを出して、体を1周させたら右側の浴衣の裾をクリップで挟みます。この時に気を付ける事は、コーリンベルトの右左の高さが一致している事です。左右の高さが違うと、動いている間にコーリンベルトが真直ぐに戻ろうとして、却ってはだけてしまいます。
胸元を固定して着崩れを防ぐ為の道具なのに、付ける事で崩れてしまっては大変です。直見ながら高さを合わせると、失敗してしまう事も多いです。鏡を見ながら右左のクリップやベルトの長さを合わせましょう。
浴衣の胸元がはだけない着付けグッズ②シャーリング伊達締め
胸元を固定する為の、浴衣を固定する為のグッズ2つ目は「シャーリング伊達締め」です。これはコーリングベルトと伊達締めが一緒になった様な道具です。伊達締めは、おはしょりをキレイに作る為の物です。浴衣を着用する時は必要な物なので、コーリンベルトが一緒になっているなら、楽に前が決まりますね。
使い方は普通の伊達締めと変わらないので、おはしょりをキレイに整えてからクリップで衿の端を留め、胸の下で固定します。左右の高さを合わせるのも、もちろん必要です。ですがそれ以外にも、おはしょりの長さが左右揃っているかどうかにも気を配る必要があります。
少々ずれている程度であれば、伊達締めを締めた後の直し方も簡単です。しかし大幅にずれていれば、着崩れやすくなる上に直し方が難しくなります。きちんとおはしょりの長さを決めてから、シャーリング伊達締めを使う様にしましょう。
浴衣の胸元がはだけない動作のコツ3選
浴衣の胸元が着崩れない動作のコツ①腕を上げすぎない
胸元が着崩れない為の、浴衣での動作のコツ1つ目は「腕を肩から上に上げない事」です。元々洋服よりも腕を上げにくい装いなので、浴衣を着ている時は大きな動作をしなくなります。ですが、洋服を着ている時と同じ様に体を動かしてしまう事もあります。
少し高い所の物に手を伸ばす時、バッグの中身をとる時など、何気ない動作の中で腕を高く上げてしまう事も多いですね。しかし腕を大きく上げてしまうと、脇の周りから着崩れてしまいます。あまり普段通りの様な行動はせずに、キレイな所作を考えながら動作をしましょう。
浴衣の胸元が着崩れない動作のコツ②脇を開かない
浴衣で胸元が着崩れない動作のコツ、2つ目は「脇をいっぱい開かない事」です。お店や屋台で何か買う時に、腕を伸ばして支払いをする事も少なくないですね。脇を開いて動かす回数が増えると、その分着崩れしやすくなってしまいます。折角キレイに着付けをしたのに、ちょっとした動きで前が着崩れてしまっては悲しいですね。
胸元をキレイに保つ為に、脇を開かない様にして動きましょう。触りたい物があれば、いつもより近くに行って取ったり、踏み台などを使ったりして取る様にします。ほんの少しの事ですが、その手間を惜しまずに行動する事で、家に帰るまでキレイなままの浴衣姿でいる事ができます。
しかし、どうしても腕を伸ばしたりしたい時もありますね。例えば、浴衣姿で皆で写真を撮る時などです。女性であればポーズを合わせたりする場合もありますし、ある程度他の人との調和のとれたポーズで撮る事も多いです。そんな時は、写真を撮った後に鏡で右左の胸元を確認しておくと安心です。
浴衣の胸元が着崩れない動作のコツ③前の物をとる時は袂を押さえる
浴衣で胸元が着崩れない動作のコツ3つ目は「袂を持って手を伸ばす事」です。食事中などで、どうしても遠くにある物を取らなくてはいけない時があります。そんな時は、腕を伸ばす方の袂(たもと)を反対の手で持ち、支えます。
そうすると、浴衣があまり引っ張られずに済みます。また袂を持つ事で、他の物に袂が当たってしまうのを防ぐことができます。普段着には、ひらひらとした袂が付いていないので、慣れていないとすぐに汚してしまいます。素早い動作をした際に、どこかに引っ掛けてしまう事も多いですね。
そうした事を防ぐ為にも、袂を持って動く事をオススメします。所作としても美しいので、何となく他人の目を引く事もできますね。もしも汚れてしまったら、こちらを参考にして汚れを取ってみてはいかがでしょう。あまりにひどい汚れなら、軽く処置をして、早めにクリーニングに出してくださいね。