陰陽五行でお肌と関連する臓腑は肺と大腸です。(下記の五行配当表をご参照ください。)中医学でいう肺は、臓器としての肺だけでなく呼吸器系の働き全般を指します。
五行に対応する五臓と五腑は表裏関係にあります。金に対応する肺と大腸も表裏関係にあり、どちらか一方の調子が悪いともう一方も悪くなるということが起こるのです。
そのため、意外かもしれませんが、古くから肺(呼吸器系)疾患を治療するために、大腸を整えるという方法があります。
五行(木・火・土・金・水)のそれぞれの要素は互いに影響し合っているため、単純に肺と大腸だけというわけではありませんが、お肌のトラブルを解決するために最初に着目して対応すべきは肺と大腸といえるでしょう。
~五行配当表(一部をご紹介)~
五行 木 火 土 金 水
五臓 肝 心 脾 肺 腎
五腑 胆 小腸 胃 大腸 膀胱
五季 春 夏 土用 秋 冬
五色 青(緑) 赤 黄 白 黒
五味 酸 苦 甘 辛 鹹
五官 目 舌 口 鼻 耳
五主 筋 血脈 肉 毛・皮 骨
アレルギー症状の主な原因は??
陰陽五行で秋に関連する臓器の肺・大腸には、リンパ管が網の目のように張り巡らされていて、私たちの60兆個の細胞から出た老廃物や二酸化炭素を排泄しています。
リンパ管には免疫細胞が集中しているため、そのリンパ管が滞って目詰まりを起こすと、排泄しなければならない老廃物などが流れず肺や大腸に溜まってしまいます。
その結果、免疫力が低下して不調の原因となるのです。また、肺や大腸で処理しきれない老廃物が、アレルギー症状や炎症といった形で皮膚に現れてしまうこともあります。
リンパ管の滞りを招く原因は、「あぶら(常温で固体のものを『脂』、常温で液体のものを『油』と使い分けることが多いようです)のとり過ぎ」と言われています。
動物性であっても植物性であっても、あぶらの摂り過ぎには注意したいものです。それでもやっぱり食べたい、やめられない、ということはありますよね。
そんな時は、食べたものを完全に消化させてくれる消化酵素のある食材を一緒に食べ合わせたり、すでに体内に溜まったあぶらを溶かしてくれる食材を摂ったり…と、これまでの連載でご紹介した関連する内容やレシピをぜひご活用くださいね。
肌を丈夫にする食材は?
陰陽五行では色では白、味では辛味の食材が肺や大腸を養います。
白といっても、白米や白いパンなどの精白製品にはビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素が除かれてしまっていますので、玄米や部付き米、全粒粉のパンなどを積極的に摂りたいですね。
乳製品にも白のイメージがあるかもしれませんが、乳製品には日本人にとって分解しにくいと言われているタンパク質や油分が含まれています。肺や大腸のリンパ管を詰まらせ、アレルギーを引き起こす原因となりますので、なるべく控えたい食材です。
ここでいう「白」くて「辛」い代表的な食材は、大根・生姜・ねぎ・玉ねぎで、皮膚にトラブルがある場合には特におすすめです。
これらの野菜に含まれる自然でやさしい辛味は、毛穴の掃除をして呼吸器の働きを高めてくれます。根のある野菜でもありますので、大腸の働きを活発にする食物繊維か豊富です。
大根に含まれるジアスターゼという酵素やネギ類に多い硫化アリル、ビタミンBには整腸作用があり、大腸の働きを促進します。
辛味というとスパイスが思い浮かぶかもしれませんが、皮膚トラブルがある場合は注意が必要です。辛味の強い刺激性のある食べ物の常食は大腸を弱め皮膚の炎症を招いてしまいます。
スパイスの代わりに、やさしい辛味を料理に活用しましょう。また、秋・冬の時期におすすめの調理方法である「時間をかけた調理」を行うことで、辛みが甘みに変わり優しい味わいとなります。
今回ご紹介するのは、ねぎ味噌。マクロビオティックでは基本的な常備菜で、動物性たんぱく質の消化を促進します。
空気が乾いて風邪が流行り始める季節。血行をよくする成分や殺菌力のあるねぎ、からだを温めたり造血作用に優れたた味噌は、風邪にもおすすめです。
また、ねぎ味噌は、呼吸器系を浄化する代表的なメニュー。身近な材料で簡単に作れて日持ちします(冷蔵庫で一週間程度)。食養生としては、毎食小さじ1杯ずつ、ご飯に添えていただきます。
ねぎにじっくり火を通すことで辛味が甘みとなり、その甘さと味噌の旨味がよくあう滋味深い味わいです。ごはんのお供、おむすびの具材にはもちろん、お湯で溶けば即席で味わい豊かなお味噌汁にも。
ほかの料理へ展開ができますので、今回はその展開料理もあわせてご紹介します。