1ヶ月ぶりに会った彼は“ただのオッサン”に成り下がっていた
「やって来た彼は、夏に私をウットリさせていた彼とはまるで別人。小麦色の肌はすっかり白くなり、伸びてしまった髪はおでこにすだれのように垂れ、実年齢より上に見えるただのオッサンに成り下がっていたんです。
聞けば、大口のクライアントからの支払いが滞り金策に走り回っていたものの、結局どうにも首が回らなくなったとのことで……。つまりは倒産しちゃったんです。ここ最近は従業員への対応に追われ心身ともに参っている……といった話をつらつらと聞かされました」
そして長く会えなかったことを詫びると、驚くべきことを言ってきたのです。
結婚を早めよう!と言ってきた彼。その後に続くセリフに冷めた
「『来年には必ず会社を再建するから年内に結婚しよう』って……。『取りやめじゃなくて早めるの!?』とビックリですよ。
なので、『いまの状況じゃ結婚式や子作りを考える余裕もないよね? 結婚はもう少し落ち着いたときにしたい』と言ったんです。そしたら彼、『この歳で結婚式とか子作りとか考えてたの!?』と絶句しちゃって……。
彼は確かにいい歳だけど、私はまだ30代半ば。結婚式や子どもに夢を持っていてフツーですよね?『こいつ、面倒なことをパスできるラクなパートナーだと思って私を選んだのかな』『自分の老後の世話をしてくれる相手を逃すまいと焦ってるのかも』という疑念がわき、急速に気持ちが冷めていきました」
宮崎さんは彼に、自分は絶対に子どもを持ちたいこと、そして年齢的に時間がないので価値観が違う人とは続けられないことを告げ、交際はジ・エンド。まさに“ひと夏の恋”で終わってしまったのです。
「彼の状況には同情しましたが、やっぱり価値観が合わない人とは無理。あと正直、見た目の変化にも相当萎えてしまって……。たまに日焼けで8割増しカッコよく見えるタイプっているんですけど、彼はまさにそれ。
アラフィフになるとちょっとした髪の乱れで一気に老けるんだなーとか、細身だとうなだれた姿勢ひとつで貧相に見えるんだなーとか、いい勉強になりました。もはや無職の冴えない初老男でしたからね。いや、キツかったです」
今年は夏の熱気に浮かされず、出会いの場でも冷静に相手を観察しているそうです。
―シリーズ「夏に起きたトホホなエピソード」―
<TEXT/丸本綾乃 イラスト/鈴木詩子>
―夏に起きたトホホなエピソード ―
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