島崎藤村の長編小説を映画化した『破戒』が全国公開中です。間宮祥太朗さん演じる主人公の瀬川丑松に大きな影響を与える思想家の猪子蓮太郎を、眞島秀和さん(45)が演じています。
1999年に映画デビューを果たし、40代半ばに入り、ますます幅広い演技で魅了している眞島さん。聴衆を前にした演説シーンに臨んだ際の心持ちなど、骨太な本作に関してはもちろん、猪子蓮太郎とは打って変わった素顔が覗くお話しも聞きました。
間宮さんが丑松としてそこにいてくれた
――名作の重要な役柄を担われました。
眞島秀和さん(以下、眞島)「間宮さんの演じる主人公の丑松が憧れ、その後の丑松の生き方にも非常に大きな影響を与えていく思想家であり、この作品のテーマになるようなセリフを言う役どころです。かなりハードルは高かったですが、撮影当日に猪子蓮太郎としてどれだけ精神力を強く持って存在できるかが勝負だと思っていました」
――どれも印象的なシーンでした。丑松とのふたりのシーンも心に残ります。
眞島「僕の撮影初日は、部屋で丑松と対峙するシーンでした。丑松が、ずっと憧れてきた同じ出自の思想家の言葉を、実際に目の前で聞けた瞬間ですし、セリフのひとつひとつが本当にメッセージ性の強いものなので、相当な重圧を感じましたが、間宮さんが丑松としてそこにいてくれました。それに彼自身が持っているまっすぐで強い力も伝わってきたので、意外と撮影には入っていきやすかったです」
MAXの状態でやりきった演説シーン
――演説シーンも見どころです。どう挑まれましたか?
眞島「猪子は考え方も生き方も、一切ブレていない人物です。こんなにすごい人が実際にいたら、僕も憧れるだろうなと。だからこそ、大勢の人の前での演説は、どういった心持ちで臨めるか正直分からず、緊張して現場に行きましたが、リハーサルの段階から、前田(和男)監督にも自分が出せるMAXの状態を見てもらおうと思ってやりました。それがあのシーンに相応しいと思いましたし、監督もそれでと思ってくださったのか、特別な指示はありませんでしたね」
若い頃の自分の芝居を見るのは恥ずかしい
――眞島さんの映画デビュー作は『青~chong~』(1999)ですが、当時リアルタイムで観ました。
眞島「ええ! 本当ですか? それはありがとうございます」
――昨年、TOKYO MX2のPFFアワード特集で放送されたのはご存じですか? ご存じでしたら、放送時に評判を調べたりは。
眞島「はい、知っています。本当に恥ずかしい限りです。調べたりなんて、怖くて怖くてできません(苦笑)。こういう仕事をしていると、自分の若いときの映像を目にすることがどうしても出てきますが、やっぱり恥ずかしいです。見た目だけじゃなくて、良し悪しは別としても、芝居に関してもどうしても今の自分の目線で見てしまいますから。なんとも言えない気持ちになります」
――李相日監督とはいまでもお付き合いは続いているのですか?
眞島「はい。舞台を観に来てくださったりもしますし、関係性が途切れることはないですね。やはりこれからも特別な存在ですね」