4.ゴールデン・レトリーバーのかかりやすい病気・ケガ
ゴールデン・レトリーバーは健康的な犬ですが、やはり気をつけたい病気やケガもあります。
たとえば、運動器疾患はよく見られるので、関節ケアはもちろん、体重管理や環境改善(滑りやすい床は避けるなど)は大切となります。
また、ゴールデン・レトリーバーは腫瘍・癌ができやすい傾向にあり、早期発見早期治療のためには定期的な健康診断も大事となるでしょう。
その他、遺伝性の白内障や進行性網膜萎縮症などの眼疾患、アレルギー性皮膚炎、胃拡張・胃捻転症候群、外耳炎などにも注意が必要です。
若齢~成犬
子犬~若い犬では、特に以下のような病気・ケガには気をつけましょう。
股関節形成不全
股関節に緩みが生じ、歩行に支障が出る運動器疾患。7割が遺伝的要素、3割が環境的要素に関係すると言われ、生後1年未満で発症することが多い。肘関節異形成症
肘関節を構成する骨の成長に異常が生じ、歩行障害が見られる運動器疾患。生後5ヶ月~10ヶ月頃に発症することが多い。外耳炎
外耳炎では痒みや痛み、赤み、腫れ、耳だれなどが見られ、慢性化すると耳介が肥厚したり、外耳道が狭くなったりすることがある。耳が垂れた犬種は外耳炎になりやすい。若年性白内障(遺伝性白内障)
白内障には、先天性白内障・若年性白内障・老齢性白内障・他の病気やケガに起因する二次性白内障などがある。ゴールデン・レトリーバーでは遺伝的な白内障が懸念される。
成犬〜高齢犬
そして、成犬~高齢犬では、以下のような病気に注意が必要です。
腫瘍・癌
高齢になるほど腫瘍・癌のリスクが高まるのに加え、ゴールデン・レトリーバーは骨肉腫や肥満細胞腫、悪性リンパ腫、組織球肉腫などの腫瘍・癌ができやすい犬種の一つとされる。股関節形成不全/肘関節異形成症
若い頃からこれらの病気があり、適切な治療を行わなかった場合、加齢にともない症状が悪化したり、重度の関節炎になったりすることがある。胃拡張・胃捻転症候群
胃拡張は加齢にともなう胃周辺の靭帯の緩みや、食事直後の運動、多量の飲水などがきっかけとなって起こり、胃が捻じれる胃捻転に進行すると緊急を要する状態となる。認知症
認知症に関連する行動が12歳の犬で53%、13歳で70%、15歳では86%に一つ以上見られたという調査報告もある(※3)。食事やサプリメントで認知症予防を心がけるとともに、シニア期に入ったなら愛犬の行動にも注意を。
5.ゴールデン・レトリーバーの平均的な寿命は?
ゴールデン・レトリーバーの平均寿命は10歳~12歳程度と言われます。
参考までに、東京大学の研究チームがペット霊園のデータを使用して行った日本の犬の平均寿命に関する調査(2018年発表)では、ゴールデン・レトリーバーでの平均寿命は13.1歳、死亡時の最高齢は18.0歳でした(※4)。
6.まとめ
ゴールデン・レトリーバーは家庭犬としてのみならず、盲導犬や介助犬、災害救助犬など仕事をする犬としても活躍できる犬種です。しかし、最初から優秀な犬であるわけではありません。もって生まれた気質や能力はもちろん、やはり育て方やしつけ、トレーニングが大きく影響し、犬を変えもします。
彼らの天真爛漫なやんちゃぶりと併せ、それを楽しめるような人に向く犬種と言えるでしょう。また、昨今では高齢期に介護生活を送るケースも珍しくありません。
どうぞ大型犬の介護も視野に入れてゴールデン・レトリーバーとの生活をお送りください。
※犬は生き物であるため、寿命や性格・気質、行動、健康度など個体差があります。
【参照元】
(※1)ELINOR K. KARLSSON et al. Ancestry-inclusive dog genomics challenges popular breed stereotypes. SCIENCE•29 Apr 2022•Vol 376, Issue
(※2)公益社団法人 日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査及び飼育者意識調査調査結果(平成27年)」
(※3)水越美奈、松本千穂、脇坂真美「高齢犬の行動の変化に対するアンケート調査」(動物臨床医学26[3] 119-125, 2017)
(※4)Inoue M, Kwan NCL, Sugiura K. Estimating the life expectancy of companion dogs in Japan using pet cemetery data. J Vet Med Sci. 2018 Jul 18;80(7):1153-1158. doi: 10.1292/jvms.17-0384. Epub 2018 May 24. PMID: 29798968; PMCID: PMC6068313.
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