「借金=悪」とか、「借金=怖い」というイメージを持っている人もいることでしょう。
人は自分が知らないことに対して怖いという心理が働きます。借金(ローン)を返せなくなった人間がその後どうなってしまうのか。それを知れば今後、借金に対するイメージも変わるかもしれません。
住宅ローンを滞納して、物件が競売にかけられてしまった筆者の知人の体験談をご紹介します。
知人が住宅ローンを滞納することになった経緯
筆者の知人、斎藤さん(仮名)はターミナル駅徒歩圏の高級マンションに住んでいました。
斎藤さんは元々家族でそのマンションに住んでいたのですが、家族と別居することになり、マンションに奥さんと子供を残して家を出ることになりました。
当時は、すぐに離婚して、マンションも売却し、売却益を財産分与すればいいと考えていたのですが、その後、離婚の話し合いは泥沼化。奥さんと子供はマンションからの引っ越しを拒み、結局、斎藤さんが自分は住んでもいないマンションのローンを払い続けることになってしまったのです。
数年間ローンを払い続け、その間何度も退去をお願いしましたが、話し合いは平行線。入居者がいては、勝手に売却することもできません。
悩んだ末に行きついたのがローンをわざと滞納し、競売にかける、という結論でした。
住宅ローンを滞納してからの流れ
彼が住宅ローンを滞納した後の出来事を時系列で追ってみました。
- 滞納5カ月:銀行から内容証明郵便で「催告書」が届く(滞納しているので払ってください、という内容。斎藤さんは当然無視します)
- 滞納7カ月:サービサーから配達証明で「保証債務履行通知及び催告書」が届く(サービサー=債権回収代行業者、へ債権が移行されましたよ、という内容)
- 滞納9カ月:裁判所から特別送達で「担保不動産競売開始決定」書類が届く(競売にかけられますよ、という内容)
- 滞納10カ月:裁判所の執行官が自宅に来て現地調査を行う(3点セットと呼ばれる競売用の資料が作成されます)
- 滞納1年:裁判所から「競売開始決定通知書」が届く(競売始まるよ、という内容)
- 滞納1年3カ月:入札、開札
- 滞納1年5カ月:落札者に所有権が移転される
- 滞納1年7カ月:弁済金の交付 この間、怖い取立屋が家に来る、というようなことはなく、実際は銀行の親切な女性担当者と電話でやり取りしたくらいです。あとは全て書面でのやり取りのみで淡々と事務的に物事が進んでいくだけです。