セリフの、その奥にある“思い”を大切にしたい
――山田洋次監督への思いは常々語られていますが、その教えのなかでも特に心に留めていることをひとつ教えてください。
『TELL ME ~hideと見た景色~』より
今井「小賢しいことはしないということを、肝に銘じて取り組んでいます。作りこんだお芝居というのはかえってつまらないものになったりしますよね。そうではなく、ナチュラルなお芝居のほうが、僕自身、惹きつけられます。それに、この役だからこう演じるといったことよりも、セリフにおいても、根幹にどんな思いがあるのかを大切にしたいと思っています。たとえばあるセリフの、言葉の持つ意味だけではなく、奥にある思いが大事かなと思います。
今回の裕士さんは非常に繊細な役どころですし、実際に裕士さんが感じて過ごしたことを、映画というストーリーのなかで自分が演じていくことに、とても悩んだし、僕自身、弱ったりナーバスになったりすることもありました。でも、hideさんが遺した大切なものを守り切るんだという強い思いを軸に演じていきました」
年相応に皺を重ねて、お酒のように熟していきたい
『TELL ME ~hideと見た景色~』より
――40代に入られましたが、年齢を重ねていくことにどんな楽しさを感じていますか?
今井「僕は比較的若い頃から『早く大人になりたい』という願望が強かったんです。たとえば奇跡の何十代なんていう言葉がありますが、そうしたことには憧れたことがなくて、年相応に皺(しわ)を重ねて、お酒のように熟していきたい。そしてその年代ごとの時間を楽しめるようになりたいと思っています」
――ありがとうございます。最後に、完成した本作をご覧になられたとき、どんな印象を抱きましたか?
今井「純粋に、hideさんをとても近くに感じました」
(C) 2022「TELLME」製作委員会
<撮影・文/望月ふみ> 望月ふみ 70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi
提供・女子SPA!
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