1998年に永眠するも、いまなお絶大な支持を受けるロックミュージシャンのhideさん。現在、実弟・松本裕士さんの著書をベースに映画化した『TELL ME ~hideと見た景色~』が全国公開中です。裕士さんを演じる今井翼さん(40)は、これが映画初主演です。
今井翼さん
かねて「X JAPAN」の、そしてhideさんのファンだと公言してきた今井さんに、本作で初主演を飾ったことへの思いを取材。また、「奇跡の何十代なんていうことには憧れたことがない」という今井さんに、40代を迎えたいまの心境を聞きました。
デビュー20年での映画初主演も、自分では意外ではない
――意外なことに今作で映画初主演です。もともと「X JAPAN」のファンだと公言されている今井さんにとって、思い入れが深くなるに違いないお話しで初主演を飾ったことをどう感じていますか?
『TELL ME ~hideと見た景色~』より
今井翼さん(以下、今井)「本当にありがたいことです。今後の僕のキャリアにおいても、ひとつのターニングポイントになっていくと思うし、役者としてさらに成長していきたいという思いです。
映画初主演ということに関しては、僕は30代で山田洋次監督と出会うまで、恥ずかしながら、あまり芝居に興味がなかったんです。山田監督から愛ある厳しい指導を受けることで、芝居の難しさ、厳しさ、楽しさに気付いていきました。そこから演じることに興味を持ち始めたんです。だから、僕はいろいろやらせてはいただいてきましたが、芝居に目覚めたのはかなり遅い。
なので初主演というのも、僕の中では意外ではなく、逆に、まだまだ積むべきものがある立場の僕に、この大切な作品の裕士さんという主演を託してくださったことを本当に感謝しています」
「おかげさま」という気持ちがなかったら、すごく薄っぺらい人生になる
――当初からの目標ではなく、キャリアを重ねていくなかでの巡りあわせによってお芝居という存在に出会えたというのは素敵なことですね。
『TELL ME ~hideと見た景色~』より
今井「僕は14歳の頃から、自分が得意とする踊りとか、好きな音楽とか。キリがないですけど、いろんな経験、出会いによって僕を生み出してもらいました。なんにでも言えることだと思いますが、物事を続けるということは大きいです。もちろん諦めてもいいと思うんですよ。でも僕は、続けてこれたから、ひとつひとつの出会いがあったから、こうして今がある。『おかげさま』ということに尽きます」
――「おかげさま」という気持ちも、なかなか若い頃には気づきにくいものだと思いますが、いつの間にか心にあったのでしょうか。
今井「人格者といえる素敵な方々との出会いや、これまでの人生経験のたまものとしか言えないと思います。でも『おかげさま』という気持ちがなかったら、すごく薄っぺらい人生になると思います。普段、感謝することだって意識して感謝するわけじゃないですよね。「ありがとうとざいます」と、心から思うから感謝なわけですから」