生後3週齢前後から子猫は歯が生え始めます。猫は二生歯性といって、人間と同じように、一生の間に乳歯が生え、抜け落ち、そして永久歯へと歯が生え変わります。つまり、永久歯に変わると、その歯は一生使うものとなるのです。 猫の歯は切歯、犬歯、前臼歯、後臼歯からなっています。子猫の時期には、まだ後臼歯はありません。乳歯から永久歯に生え変わる時に、後臼歯が生えてきます。
それぞれの乳歯が生える時期を表1に、永久歯の生える時期を表2に、乳歯と永久歯の歯式を表3に記載してあります。もしも、子猫を拾った場合、乳歯の生えているかどうか、またどの乳歯まで生えているかどうかといった様子から、「生まれてからどれくらいなのか?」をある程度推測していくことも可能ですね。
乳歯の萌出時期(表1) | |
切歯 | 2~3週齢 |
犬歯 | 3~4週齢 |
前臼歯 | 3~6週齢 |
永久歯の萌出時期(表2) | |
切歯 | 3~4ヶ月齢 |
犬歯 | 4~5ヶ月齢 |
前臼歯 | 4~6ヶ月齢 |
後臼歯 | 4~5ヶ月齢 |
(表3) | 乳歯の歯式 | 永久歯の歯式 | ||
上顎 | 下顎 | 上顎 | 下顎 | |
切歯 | 3 | 3 | 3 | 3 |
犬歯 | 1 | 1 | 1 | 1 |
前臼歯 | 2 | 3 | 3 | 2 |
後臼歯 | 0 | 0 | 1 | 1 |
歯の生え始めることを「歯の萌出」ともいいます。その言葉の通り、芽が萌え出ように、歯が歯茎を突き破って生えてきます。このため、歯の萌出時期には、歯茎に軽度の出血や痒み、痛みがあり、これを紛らわせようと、子猫は様々なものを噛むようになります。これを機会に、噛んでも良いもの、悪い物を区別させ始めましょう。この時、まず噛んでも良い物を用意してあげてください。これは人間の子供の歯固めと同じようなものになります。硬すぎず、柔らかすぎず、歯茎を丈夫にし、痒みを紛らわせるようなものを探してみてください。硬すぎると、せっかく生えた歯が折れてしまうこともありますので、充分に注意しましょう。また、絶対に飲み込んでしまえるような、大きさのものは止めましょう。誤って飲み込んでしまう危険性がでてきますので。
歯の生える時期は栄養学的にも大切なものとなります。歯が生えるくらい成長してくると、ミルクだけでは、体に必要な栄養素を充分に得ることができません。これは、母乳であっても、人工哺乳であっても同様です。 歯が生え始める3~4週齢頃から、徐々にミルクから離乳食に移行させていきます。生後6~10週齢頃には完全に子猫用フードに切り替えるようにします。生え始めの歯は、まだ作られている途中なので、完全な強さを持っていません。最初は柔らかくふやかしたものから始めるようにしましょう。また、歯が生え始めた時期から、口の中にそっと手を入れさせることに慣れさせ、歯磨きの習慣をつけ始めるようにすることが、将来のために、とても大切となってきます。
子猫のお口は大変小さいです。最初からブラシ片手に歯磨きをする!と、気を張らずに、『子猫と遊びながら!』を目標に気楽に始めましょう。
切歯や犬歯が生え始める頃は、何でも齧りたがります。この時期にじゃれながら、『口の中に手を入れること』から、慣れさせましょう。また、この時、子猫が強く噛んだ場合には「子猫だから仕方がない」と思わずに、きちんと本気で「痛い!」と伝えましょう。これによって、人に対しての噛む力がどの程度であればよいのか、どの程度だと叱られる、相手に嫌がられるのかを覚えていきます。
★この時に絶対に手を挙げる、叩く、殴るということは行わないでください!!子猫は体が小さく、もろいものです。必ず優しく触れるようにし、叱る時は『本気の言葉』で叱りましょう。
口の中に手を入れられることになれれば、次は指、またはガーゼを巻いた指で、そっと歯茎をマッサージしていきます。始めは表面をなでる程度でかまいません。特に臼歯の辺りは将来、歯石が溜まりやすい場所でもあるので、その部分をなでられることに慣れさせていきます。最初から口の中が無理であれば、頬の部分を優しくマッサージし、口の周辺を触られることに慣れさせます。気持ちよさそうにするのであれば、歯茎から歯にかけて、マッサージの面を増やしていきましょう。
歯を磨く回数は毎食後が理想ですが、まずは慣れることが第一!1日1回から始めてみましょう♪
子猫が眠そうな様子の時に優しく行ってみたり、機嫌よく遊びたがっている時に、じゃれながら『遊び』の一環として、まずは始めてみましょう。
口の中に手を入れられること、歯茎や歯に触れられることになれれば、今度は柔らかめの小さな歯ブラシを使って、歯磨きをしていくのも良いですし、また、指にはめる歯ブラシを使うのも良いかもしれません。貴方の可愛い子猫にとって最良の方法を永久歯が生え始めるまでの間に、探していけるといいですね。
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