最後に

手術をする前に疑問に思うことは獣医師にどんどん尋ねましょう。愛猫の健康管理をするのは飼い主の皆様です。愛猫に代わって避妊・去勢手術に対しての知識を持つようにしましょう。「主治医の先生は忙しそうで…」と気後れする必要はありません。主治医に質問するのは飼い主の権利です。そして、飼い主の方のご質問にお答えするのは獣医師の義務なのですから。
また手術を受けた後に少しでも普段と違うというようなことがあれば、獣医師に診察してもらうようにしましょう。早期発見早期対処が元気な状態への近道です。

おまけ~初めての手術~

初めて猫の避妊手術を経験した時、患者は自分の猫でした。といっても助手としてですが…。まだ学生の頃のこと。動物病院に連れて行って避妊手術を依頼した時に獣医学生だと話すと、院長が助手をしてみるか?と聞いてくれたので、「はい!」と即答した結果です。今にして思えば院長が経験豊かだったため、何の経験もない学生を助手にしても手術を成功させる自信があったのでしょう。
その頃、大学で学んでいた解剖や生理の知識は牛や馬、豚、鶏、そして犬のことだけ。猫の体の内部はまったく見た事がありませんでした。初めての猫の手術ということで、帰宅後愛猫をなでながら外科手術の本を読み、ノートに術式を書き写し、手術のイメージを頭の中で作りあげ、ドキドキしながら手術に挑みました。
いざ、愛猫の手術当日、麻酔をかけられ、無防備に毛をそられたピンクの肌が次々と滅菌覆い布で四角く囲まれ、目の前で準備されていきました。
院長がメスを持ち、皮膚に切開を加えます。「臍の下からメスを入れるんだよ」といいながらメスをススッーっと動かすと、私の目にオレンジピンクの塊が目に入ってきました。「先生、猫の筋肉ってオレンジ色をしているんですか?」とおおぼけな事を言うと院長は一言「これは脂肪だよ」。「・・・・・・・」赤面しつつ黙る私。犬や他の動物の脂肪はみんな白っぽい色をしていたから、というだけでなく、まさか愛猫のお腹にこれだけの皮下脂肪がついているとは思いもしなかったのです。
手術はあっという間に終わった気がしましたが、多分30分くらいだったでしょうか。何も知らない学生に説明しながらだったので、少し時間がかかったようでした。そのありがたい説明も卵巣を出し、子宮を摘出しという過程も初めての助手で緊張していた私の記憶には全然残っていません。ただ、最後に皮膚を縫合する時、「“皮内縫合”をするから傷跡は目立たないよ」という言葉だけが今も残っています。その後何度も手術を経験しましたが、皮膚縫合の時にはいつもこの言葉が頭に浮かんできます。

【獣医師監修】ネコの避妊・去勢手術 その2【じゃれ猫ルーム】
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)


提供・犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)

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