不可能を可能にする男

 さて、宙が高校生の同窓会とは知らずに、現場着のまま場違いなホテルの宴会場に行く場面を見てみよう。

 高校時代に部活でエースを張っていた彼は、協調性のなさから同級生たちに疎まれていた。かつての栄光と挫折の日々を現在の姿に重ね合わせ、悔しい思いをする。缶チューハイを片手に路地を歩けば、不良に絡まれ、一発お見舞いされる。ここて火がついた宙は、金髪アッシュの不良に反撃。負けん気の強いこの不良青年・荒井を演じるのが佐藤寛太ということで、ここで「劇団EXILE」対決が勃発!

 この暴力沙汰が原因で宙は現場をクビになる。さらに家賃未納で家を追いだされ、所持金はゼロ。そして二人のケンカを端から見ていた八女(北村一輝)から誘われたのが、陸上自衛隊。なんとハチャメチャな展開だろう。けれど、オープニングタイトルを見れば分かる。自衛隊員の町田君は、絶対にサマになると。迷彩服でもなんでも似合う。そして急なドラマ展開の不可能を可能にする男。それが、町田啓太という俳優なのだ。

「劇団EXILE」対決が再燃!?

 こうして宙は、北東京駐屯地自衛官候補生試験を受けることになった。なんと試験に合格し、八女の期待に応えた彼の散髪した姿が清々しい。長髪で若干だらしない感じの町田もいいけれど、彼には短髪が似合う。カットが変われば、長髪から短髪に切りそろえてあるこの一瞬の変身ショットだけでも、本作を見る価値がある。

 翌朝、こざっぱりしてちょっと恥ずかしげに頭をかく宙。寮には個性的な候補生たちが大集合するなか、あの荒井が同室だった。こちらも髪を短く整えていて、寛太君の地黒な肌にアップスタイルのヘアーが艶かしく、眼光の鋭さなら町田を凌いでいる。短髪にイメチェンしてからの町田と佐藤のこの対比だけでも画になるのだから、寮生活でも「劇団EXILE」対決が再燃するのを期待してしまう。