「この世に摩擦がなければどうなるか?」と聞かれたら、あなたは何と答えますか? この問題は、素粒子「ニュートリノ」の観測でノーベル賞を受賞した研究者・小柴昌俊氏が物理のテストとして出題したとされる問題です。はたして、驚きのその答えとは……。
宇宙の謎をときあかした科学者たちのスゴイ発見とヤバイ一面を解説した『国立天文台教授がおどろいた ヤバい科学者図鑑』の著者であり、国立天文台水沢VLBI観測所所長の本間希樹先生に、同エピソードについて聞きました。
本間 希樹『国立天文台教授がおどろいた ヤバい科学者図鑑』 本間 希樹『国立天文台教授がおどろいた ヤバい科学者図鑑』
正解者が数人しかいない「伝説の問題」を出題!
2002年にノーベル賞を受賞した小柴昌俊氏ですが、実は学生時代、決して成績はよくなかったようです。本人いわく、入学した東京大学での成績は「ビリ」だったとか。しかし、常に遊び心のあるアイディアを持った人として知られています。
小柴氏のユニークな性格があらわれているのが、彼が大学院生で、神奈川県にある栄光学園で物理の臨時講師をやっていたときのエピソード(ちなみに栄光学園は私の母校でもありますが、私が入学するよりずっと前の話です!)。
小柴氏は物理のテストで、次のような問題をだしました。
この世に摩擦がなければどうなるか、記述せよ。
……どうでしょうか? みなさんだったら、なんと答えますか?
この問題をだされた学生たちは、みんな一生懸命に自分なりの答えを考えたそうです。でもあまりにむずかしすぎて何人かはなにも書くことができず、白紙で提出するしかなかったとか。
画像はイメージです
意外な答えは?
さて、気になる答えは……なんと「白紙答案」が正解です!
わたしたちが鉛筆やシャーペンなどで紙にモノを書くことができるのは、鉛筆の芯を紙に当てたとき、芯と紙の間に摩擦が起こって、芯が削れて、その黒い粉が紙につくからです。
もしも、この世のなかに摩擦がなければ、紙に文字を書くことができない。だから、正しい答えは「白紙」。
正解できたのは3人くらいだったそうですが、さっぱり答えがわららないまま白紙の答案をだしただけだったのかもしれませんね。