絶景を見ている訳でもないのに、こんなにテンションが上がるのはどうして?そんな不思議な体験が、新潟県・燕三条のファクトリー見学。歴史の重みと洗練された伝統美が見事に調和した、燕三条生まれの逸品たちを探しに行きませんか?
燕三条(つばめさんじょう)の面白エピソード
その昔、新潟県の中央部に位置する燕市は職人の町、三条市はそれを販売する商人の町でした。隣り合う町同士でライバル関係でもありました。そこに上越新幹線が通ることになり、名前をどうするか等々様々な難題が持ち上がったそうです。
そこで時の総理大臣、田中角栄氏が間に入り、駅を両市の境界地点に設置すること、新幹線の駅名は「燕三条」にし駅長室は三条市に置く代わりに、高速道路のICは燕市におき、IC名も「三条燕」にすることとなったそうです。
少々、愉快な話に感じてしまいますが、地元の方々にとっては、真剣な攻防だったようです。なにはともあれ、町名は「燕三条」となり、互いに助け合い、高めあい、地元の物づくりに目をむけ、力をそそいできた結果、今「燕三条」は、金属製品の産地として世界的にも注目されるようになっています。
ものづくりの歴史について
燕三条と金属加工の歴史は、江戸時代までさかのぼります。河川の氾濫で苦しむ農民たちのために、江戸や会津から釘鍛冶(くぎかじ)職人を呼びよせ、和釘の製造法を指導・奨励したのが始まりです。それが、農家の重要な副業となった上に、材料や鍛冶に不可欠な燃料の供給が容易だったことも、金属加工が盛んになるきっかけになったと伝えられています。
その後、ヤスリ、包丁、キセル、一枚の銅板から叩いてヤカンなどをつくる鎚起銅器(ついきどうき)などの製造が始まります。その技術は、時代の変革とともに洋食器に移行してゆき、燕三条の代表的な特産となりました。
現在では、金属洋食器の全国シェア90%以上を占めるほどになっています。それらは、日本人にはもちろん、海外からも評価が高く、ノーベル平和賞の晩餐会に燕三条のカトラリーが使われていることや、APPLE社の製品に燕三条の技術が生かされたことも有名ですね。
歴史から知りたい方はここから!「燕市産業史料館」
金属加工産業が発展する歴史を伝える史料館です。江戸時代に作られていた和釘や、名前だけではいったいどんなものか想像もできない鎚起銅器など、実物と共にわかりやすく展示されています。
製作工程や作業場の復元展示などもあるので、時間がない方はここを抑えるだけでも、産業について理解できると思います。また別棟では、職人技を見学できるほか、チタン製コーヒースプーンの発色(¥700)や純銅タンブラー作り(¥2,200)など、体験工房もありますので、ぜひ立ち寄りたいスポットです。
いろいろ買いたい方は「道の駅 燕三条地場産センター」
燕三条駅から徒歩で10分足らずの場所に建つのが、道の駅燕三条地場産センターです。敷地内は本館と別館があり、物産館やレストラン、産業支援施設などを含む多目的な施設として成り立っています。道の駅があるのは、本館(別名:メッセピア)1階となります。
館内には、約10,000点もの洋食器や刃物、キッチン用品に工具などが展示&即売されています。見慣れた家庭用から、見慣れぬプロ仕様まで揃っているのですから、見ていて飽きないどころか、楽しくなってしまいます。爪やすりやカトラリーなども、デザインを比較したり、重さや握り具合を確認することも存分にできますし、スタッフの方にアドバイスを頂くことも可能です。
もちろん、道の駅らしい地酒や地元の銘菓などもそろっているので、とにかく手っ取り早く購入できれば!という方は、こちらに立ち寄るのがお勧め。センターで購入した商品に名入れのサービス(不定期開催)や、包丁とぎの体験教室(事前予約)などもあるので、公式サイトで事前にご確認ください。