愛知県西尾市は、愛知県中央部を北から南へ流れる矢作川流域の南端に位置します。抹茶の産地として、また「三河の古京都」として知られています。そんな西尾市にある有人島・佐久島が、アートの島として近年話題となっています。町おこしの一環として島全体がアート作品で溢れる佐久島は、女子旅やカップルなど若い人に大人気です。今回はその歴史やアート作品など、佐久島を徹底解説します。

佐久島ってどんな島?

佐久島の地理

愛知県にある3つの有人島は、全て三河湾内に位置しています。その中でも佐久島は最大の島で、人口252人、面積は173ヘクタール、東京ディズニーランドの約3倍の広さを誇っています。島の80%以上が里山で、豊かな自然と昔ながらの懐かしい集落の風景が見られます。

癒しとアートの島【愛知・佐久島】を徹底解説!
(画像=あやか トリップノートより引用)

信号機もコンビニもなく、ゆったりとした時間が流れる離島です。

佐久島の由来

崇神天皇の時代(紀元前1世紀)、伊勢の斎宮の郷に作彦という臣がいました。伊勢志摩の島を見回るついでに佐久島を訪れ、その景勝を気に入りなんと移り住んだのだそう。移り住んだ佐久島で、農業を始めたことから「作農」と呼ばれるようになったと伝えられています。

文献の中に初めて「佐久島」の名前が出てくるのは、藤原京の時代(7世紀後半)です。藤原宮跡から、土地の産物を献上した際の荷札に「佐久嶋」と書かれた木簡が出土したのだとか。更に8世紀の奈良時代には、平城京跡から出土した木簡に「析嶋(さくじま)」の名が見つかっています。

※木簡…古代の東アジアで墨で文字を書くために用いられた短冊状の細長い木の板のこと。


佐久島の歴史

今から2,500万年前に海中で堆積した島です。人が住むようになったのは紀元前3,000年ごろと言われています。

石垣の地層からは、縄文土器の破片や1世紀〜3世紀にかけて作られた様々な様式の弥生式土器なども多数出土しており、その歴史の古さが伺えます。江戸時代には、海を生活の場としていた海部(あまべ)族の末裔たちにより、海運業が繁栄しました。八日講(ようかこう)祭りや西の盆踊りなどは、その頃の佐久島独自の文化を今に伝える歴史ある行事なのです。

※八日講祭り…鬼に見立てた八角凧を弓矢で射ることで邪悪を祓い幸福を願う古式ゆかしい神事のこと。
※西の盆踊り…400年の伝統を誇る夏のお祭りのこと。


癒しとアートの島【愛知・佐久島】を徹底解説!
(画像=あやか トリップノートより引用)

また、1954年(昭和29年)に佐久島は一色町に編入合併し、2011年(平成23年)4月には一色町は吉良町、幡豆町と共に西尾市に編入合併されました。

隅から隅まで!佐久島を遊びつくそう!

インスタ映えと話題に!アート作品を楽しむ

温暖な気候と豊かな海の幸に恵まれ、江戸時代には海運業で栄えた佐久島ですが、1947年(昭和22年)の1634人をピークに人口は減り続け、島の発展は長らく阻まれてきました。

アートを軸とした島おこしがスタートしたのは、1995年(平成7年)の国土庁(現在の国土交通省)の視察がきっかけです。それ以来、島民と行政とが手を取り合って島の産業、地域文化、自然環境、景観などを活用した、さまざまな活動を展開しています。また、小・中学校との連携によって、子どもたちが積極的に活動を担っていることも佐久島の大きな特徴です。

佐久島アートの常設展示は24点(2018年7月現在)あり、佐久島アート・ピクニックと題して、スタンプラリーを展開しています。

癒しとアートの島【愛知・佐久島】を徹底解説!
(画像=あやか トリップノートより引用)
癒しとアートの島【愛知・佐久島】を徹底解説!
(画像=あやか トリップノートより引用)

スタンプラリーの用紙や佐久島のマップは西港休憩所等にあるので、観光する前に取りにいきましょう。

癒しとアートの島【愛知・佐久島】を徹底解説!
(画像=あやか トリップノートより引用)

ちなみにスタンプラリーを制覇すると、ステキな商品が貰えるのだとか。

展示されているアート作品の中で、若い女性やカップルなどに特に人気の作品や、筆者が見学した中で良かったと感じた作品を以下で紹介したいと思います。

「おひるねハウス」南川祐輝/2004年(2014年再制作)

石垣(しがけ)海岸にある、「おひるねハウス」は特に人気の作品です。連休などは観光客も多いため、写真を撮るために並ぶこともしばしば。

癒しとアートの島【愛知・佐久島】を徹底解説!
(画像=あやか トリップノートより引用)

作品の黒色は、西集落の黒真珠と言われる黒壁がモチーフとなっています。2010年公開の劇場版『名探偵コナン 天空の難破船』にも登場しており、劇中でコナンと怪盗キッドが遊びに来てくれたのだとか。インスタ映え間違いなしの作品です。

「カモメの駐車場」木村崇人/2005年制作

大浦海水浴場にある作品が「カモメの駐車場」です。

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(画像=あやか トリップノートより引用)

風の島である佐久島では、風にたくさんの呼び名があります。東風は「こち」、南風を「まぜ」などと呼ばれており、この作品は風を見るための装置なんだとか。装置にしてはとっても可愛くて、思わず写真を撮りたくなってしまう作品です。

「イーストハウス」南川祐輝/2010年制作

大島浅橋ポケットパークにある作品が「イーストハウス」です。

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(画像=あやか トリップノートより引用)

「おひるねハウス」を制作した南川祐輝氏がこちらの作品も制作しています。東地区にある東屋なので「イーストハウス」と名付けられました。対岸に見える「おひるねハウス」とは対照的な白い箱で、階段から屋上に上がることもできます。そしてこのようにとっても長いんです。

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(画像=あやか トリップノートより引用)

歩いてみたり、登ってみたり…。そして、覗いてみたり…。

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(画像=あやか トリップノートより引用)

こちらもインスタ映え間違いなしな作品となっています。

「佐久島の秘密基地/アポロ」POINT(長岡勉、田中正洋)/2013年制作

筒島手前にある作品が「佐久島の秘密基地/アポロ」です。

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(画像=あやか トリップノートより引用)

木々のトンネルを抜けて渥美半島を見渡す崖の上にある建築作品で、イメージはアポロ11号の月面着陸。小さな建物ですが、たくさんの異なる風景を見ることができます。山道を抜けたところにあるので、少し歩きますが是非見に行ってほしい作品です。

「すわるとこプロジェクト」名城大学理工学部建築科 MIURA LAB/2008年制作

「カモメの駐車場」と同じく大浦海水浴場にある作品が「すわるとこプロジェクト」です。

癒しとアートの島【愛知・佐久島】を徹底解説!
(画像=あやか トリップノートより引用)

座ったり、寝転がったり、のんびり景色を楽しむための作品で、他にも3ヶ所あります。残念ながら2018年8月現在修理中。

癒しとアートの島【愛知・佐久島】を徹底解説!
(画像=あやか トリップノートより引用)

作品の修理が終わり次第、皆さんも座ったりのんびりして過ごしてみてはいかがでしょうか。

「ノンとビリーだ」松岡徹/2003年制作

フラワーロード沿いにある作品が「ノンとビリーだ」です。

癒しとアートの島【愛知・佐久島】を徹底解説!
(画像=あやか トリップノートより引用)

こちらはのぞき箱の作品。ノンとビリーは、ヤギの名前です。ノンとビリーは実際に、フラワーロード沿いにある小屋で飼われています。

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(画像=あやか トリップノートより引用)

ノンとビリーにおやつをあげることも可能です。

癒しとアートの島【愛知・佐久島】を徹底解説!
(画像=あやか トリップノートより引用)

注意事項をよく読んで、おやつをあげてみてはいかがでしょうか。