兵庫県姫路市の書寫山(しょしゃざん)山頂にある圓教寺(えんぎょうじ)は「西の比叡山」とも言われ、寺域は約11万坪にもなります。中でも2003年公開の映画『ラストサムライ』の撮影場所として一躍有名になった大講堂・常行堂・食堂がコの字に並んだ伽藍は必見!ゆっくり時間をかけて歩きたい。そんな圓教寺の見どころをご紹介します。

まずはロープウェイに乗って、書寫山山頂へ

966年、性空(しょうくう)上人によって開かれた圓教寺(えんぎょうじ)は、姫路城の北西に位置する書寫山(しょしゃざん)の山頂に約11万坪もの寺域を有しています。

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(画像=えちこ 書写山ロープウェイは長さ約780m、高さ約210m。山頂までは4分ほどの空の旅。、トリップノートより引用)
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(画像=えちこ ロープウェイからは姫路市内が見下ろせます。、トリップノートより引用)

JR姫路駅から神姫バス「書写山ロープウェイ」行に乗り約30分。終点すぐにあるロープウェイ山麓駅から書寫山山頂を目指します。ロープウェイは毎時15分おき0・15・30・45分に発車しています。

山頂まで約4分。上るにつれ、眼下に姫路市内が一望できます。

摩尼殿まで約1キロの参道ウォーキング

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(画像=えちこ、トリップノートより引用)

ロープウェイ山上駅から、まずは西国三十三所の札所にもなっている摩尼殿を目指しましょう。志納所で拝観志納金500円を払い、約1キロの参道を歩いていきます。なお、志納所から摩尼殿の下までマイクロバスの利用も可能です。(往復500円)

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(画像=えちこ 第五番札所 葛井寺の十一面千手千眼観世音菩薩、トリップノートより引用)
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(画像=えちこ 第八番札所 長谷寺の十一面観世音菩薩、トリップノートより引用)

参道の始まりは上り坂。ですが、両脇には西国三十三所の観音像が配置されており、一つ一つの観音像を鑑賞しながらゆっくりと上れば、それほど疲れも感じません。

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(画像=えちこ、トリップノートより引用)

途中の展望スポットで一休み。すっきりと晴れた日には、明石海峡大橋や淡路島を見ることもできます。

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(画像=えちこ、トリップノートより引用)

志納所から10分ほどで、圓教寺の正門となる仁王門に到着です。ここから先が圓教寺の境内となります。門は江戸時代初期の建物で、両側に仁王像を安置しています。

舞台造りが美しい摩尼殿

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(画像=えちこ、トリップノートより引用)

摩尼殿は970年創建。「マニ」とは梵語で如意の意味を表します。開基である性空上人が、天女が桜の木に礼拝するのを見て、根があるままの桜の生木に如意輪観音を刻み、岩山の中腹に舞台造りの建物を建てました。

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(画像=えちこ、トリップノートより引用)
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(画像=えちこ、トリップノートより引用)

現在のお堂は、昭和8年に再建された比較的新しいものですが、舞台造の非常に美しい建物で、国の登録有形文化財にも登録されています。本尊の六臂如意輪観世音菩薩は秘仏で、毎年1月18日に行われる鬼追いの日にのみ開帳されます。

コの字型が印象的な三つのお堂

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(画像=えちこ、トリップノートより引用)

摩尼殿の裏手を通り杉木立を5分ほど歩くと、大講堂・食堂(じきどう)・常行堂の三つのお堂がコの字型に配置された伽藍風景が現れます。

この風景を映画やドラマで見た記憶がある方も多いのではないでしょうか。2003年公開のハリウッド映画『ラストサムライ』や2014年放送の大河ドラマ『軍師官兵衛』をはじめ、数々の作品のロケ地として使われています。

大講堂

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(画像=えちこ 大講堂、トリップノートより引用)

伽藍がある広場手前から見て右側(北側)にあたる大講堂は、室町中期に建てられた圓教寺の本堂。お経の講義が行われる学問と修行の場です。現在の建物は、昭和51年から56年にかけて解体修理がなされたものです。

常行堂

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(画像=えちこ 常行堂、トリップノートより引用)

大講堂と向き合う位置にある常行堂。こちらは、常行三昧(ひたすら阿弥陀仏の名を唱えながら本尊を回る修行)をするための道場です。中央部にある舞台は、大講堂に安置されている釈迦三尊像に舞楽を奉納するため設けられました。

食堂(じきどう)

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(画像=えちこ、トリップノートより引用)

広場の正面にある食堂は、修行僧の寝食のための建物。未完成のまま数百年放置されていましたが、昭和38年に解体修理が行われ、その際ようやく完成形として建てられました。仏堂建築には珍しい二階建ての作りで、一階では写経体験ができ、二階は宝物館となっており自由に拝観できます。(拝観無料)

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(画像=えちこ、トリップノートより引用)

二階からは、両脇に並ぶ大講堂・常行堂を眺めることができます。広場からとはまた違うアングルで、建物全体を捉えることができますので、宝物館の資料と共にこちらもぜひ鑑賞してみてください。

『軍師官兵衛』のロケ地として圓教寺は使われましたが、実際に豊臣秀吉が三木城攻めの戦いの際、黒田官兵衛がこの地に陣を敷くよう秀吉に進言したと言われています。

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(画像=えちこ、トリップノートより引用)

そんな歴史を物語るちょっと面白いものが一階に展示されています。それは、旧摩尼殿の柱に書かれた落書き。「天正6年」(秀吉が陣を敷いた年)「羽柴小一郎」(秀吉の弟・秀長のこと)「近江浅井郡」と書かれており、秀長の家臣が書いたと考えられています。