映画「トップガン マーヴェリック」を巡り、米パラマウント・ピクチャーズが著作権侵害で訴えられました。なぜこのような事態に陥ったのか、本記事ではその理由について解説します。

そもそも「トップガン マーヴェリック」はどんな映画?

2022年5月27日に日米同時公開された「トップガン マーヴェリック」。全世界を熱狂させた「トップガン(1986年公開)」の36年ぶりの続編ということもあり、今年最大のヒット作との呼び声も高くなっています。世界興行収入は10億ドルを突破しました(2022年6月28日現在)。

この「トップガン」は、1983年4月にエフード・ヨネイ氏(故)が「California」誌に執筆した米海軍のエリートパイロットらについての記事が原作となった映画です。その続編「トップガン マーヴェリック」は、昇進を拒み続け、今もなお現役として戦闘機に乗り続ける伝説の米軍パイロット、通称「マーヴェリック」の姿を描くストーリーです。

前作「トップガン」から続くパラマウントと著作権者の関係

前作「トップガン」の製作にあたり、映画会社パラマウント・ピクチャーズは1983年5月にこの記事の映画化権を取得しています。一方、ヨネイ氏は同年10月に当記事の著作権を登録。その後、パラマウント側は続編製作の意欲を抱きながらも、製作陣のスケジュールや前作監督の死亡などの事情で実現が遠のいていました。

時が経ち、2018年1月にヨネイ氏の遺族が2年後の2020年1月に使用権を停止させる旨、パラマウントに通知を送りました。これは米著作権法では35年経過後に使用権を著作権保持者が取り戻せるためです。