歳をとると若い頃にはわからなかったことがわかってきたりしますよね。若い頃に知っていれば、もっとラクに人生を生きられたのにと思うことも…。

そんな内容を綴ったエッセイ『もっと早く言ってよ。50代の私から20代の私に伝えたいこと』の著書・一田憲子さんの言葉は女子SPA!読者世代が見ても共感するものばかり。

ムック『暮らしのおへそ』『大人になったら、着たい服』などの企画や編集を手がけてきた編集者・ライターの一田憲子さんが贈る、これからの人生を豊かにするヒントをご紹介します。 (以下、エッセイ『もっと早く言ってよ。50代の私から20代の私に伝えたいこと』より本文を抜粋)

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夫婦の関係って、時間をかけて育てるもの。

50代で分かった“夫婦関係”の育て方。時間はかかって当たり前
(画像=『女子SPA!』より引用)

一田憲子さん

「もう、こんなに忙しいのに全然手伝ってくれない!」「もうちょっと人のことまで想像を巡らせてくれればいいのに」。夫のダメなところをあれこれ数えてため息をつくことってない?

「この人じゃなかったら、どんな人生だっただろう?」と、ちらりと「別の人生」が頭をかすめちゃったりね。実は私もずいぶん長い間「もっといい人がどこかにいるんじゃなかろうか?」と思っていました。世の中には、ぴたりと気が合って、夫のことを尊敬し、うまくいっているご夫婦がいます。でも、「こんなはずじゃなかったんだけど」とため息をつく人だって多いんじゃないかなあ?

でもね、もうちょっとだけ我慢してみたら?

「人生の折り返し地点を過ぎたら、夫を見る目が少し変わるかもよ」と、あなたに伝えてあげたいと今思っています。最近の私たち夫婦は弾丸で温泉旅行に出かけたり、帰ってきて「やっぱり家のご飯がいちばんだよねえ」と言いながら、道の駅で買ってきた野菜を入れた鍋をつついたり……。ドキドキワクワクはしないけれど、そこそこしっぽりとした、いい関係になってきたなあと感じています。

プラスのメガネにかけ替えてみたら…

数年前にホロスコープを見てもらったら、「ベストなパートナーですね」と言われて「え~っ?」と驚きました。だって、その頃の私には、「もっと別にいい人が……」と邪悪な考えが渦巻いていたので。でも、このことをきっかけに、私の中で何かがくるりとひっくり返ったんだよね。「そっか、こんなに仕事ばかりしている私に文句ひとつも言わないもんね」「いつも、いちばん心配してくれるし」と、プラスのメガネにかけ替えてみたら、夫のいいところがたくさん見えてきて、自分でもびっくり!

若い頃は、自分が「やらなくちゃいけないこと」で手いっぱいで、知らず知らずのうちに「やってもらっていること」に気づかなかったんだなあと反省しました。

人生後半になって仕事の経験値が上がって、アップアップの状態から少し抜け出したり、子どもたちが巣立っていくと、やっと周りを見渡すゆとりが出てきます。そして、ようやく隣にいる人に気づく……。つまり、夫婦の関係が育っていたことを知ります。

いくらいい仕事をしても、引退したらそれはもう「過去」になるでしょう?

若い頃キラキラ輝いていたものがやがて色あせた時、いちばん確かな幸せは、隣にいる人と「これおいしいね~」と言い合えることなんじゃないかなあと、やっと気づいたこの頃。だから、相手に足りないことばかりを見ないで、じっくりゆっくり「夫婦」という関係を育てていくことも、なかなかいいものだって思うのです。